横浜市立小中学校 3学期制への回帰進む 授業時間の確保に課題
横浜市教育委員会が推進し、市内の公立小中学校のほとんどが採用している「2学期制」。授業時間の確保を目的に平成15年度から導入されているが、ここ数年は「3学期制」に戻す学校が増加している。
2学期制は、10月の連休(秋休み)などを区切りに1年を前期・後期に分ける考え方。メリットとして、【1】従来の3学期制に比べ、始業式と終業式を1回分省略でき、年間で10時限以上の授業時間を確保できる【2】教諭にとっても、通知表の作成にかかわる事務作業から解放され、子どもたちと向き合う時間ができるなどが挙げられている。
市教育委員会によると、新年度から3学期制を採用する市立小学校は345校中13校(昨年7校)、市立中学校は146校中22校(昨年9校)と増加傾向にある。
2学期制について、一部の保護者からは「通知表の回数が減って、子どもの成績が把握できない」「安易な導入によって振り回された」などの指摘もある。その一方で、学習内容が増えることになった新学習指導要領の完全実施を前に「なぜ授業時間の確保に課題のある3学期制に戻すのか」という不安の声も聞かれる。
市内で唯一3学期制の採用を続けている岡村中(磯子区)は「違いは、一つの期間が短いか長いかだけ。岡村中の生徒は、短いスパンの方が力を発揮できる」と3学期制の継続理由を話す。一方で「新しい3学期制づくり」を模索している学校もある。21年度から3学期制に戻した並木中央小学校(金沢区/酒井宏校長)では、夏休みを3日間短縮して12時間を確保。その分を上手く振り分け、午前中だけの授業日を増やした。同校の教諭からは「午後の時間帯を有効に活用できる」と好評。さらに、通知表(あゆみ)の電算化システムも構築し、業務の簡素化を図った。酒井校長は「2学期制の良い点は残しながら、新しい3学期制を作っていきたい」と話す。
教育委員会指導企画課の藤城守主任指導主事は「教育委員会でも、よりよい学期制のあり方について検証していきたい」としている。
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