先日「おおしま国際手づくり絵本コンクール」で最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞した 金澤 麻由子さん 荏田町在住 29歳
手描き絵画の魅力伝えたい
○…受賞作品は子鹿と白テンの物語。繊細なタッチの高い画力と柔らかい文体が評価された。「あるがままに生きる動物の姿は感情移入しやすく、人の心を和ませてくれる。作品を通じて、何か感じてもらえたら」。横浜美術大では助手を務める傍ら、映像や音、光などのコンテンツを使った新たなアートを研究。「様々な表現メディアを使って手描き絵画の魅力を伝えたい」。
○…神戸出身。物心がついた頃から絵を描き始め、美術部に所属する。「アイディアがどんどん湧いてきて」と徹夜で創作に取り組んだ。進路を決める高校3年生の時。『せめてデザイン科へ』という親の反対を押し切り、大学は油絵コースを志望。「消費されるものの一部として、物づくりはしたくなかった」。商業用ではなく、あくまでアートにこだわる。”手で描く”ことが、自分らしい生き方。口調はおっとり、立ち振る舞いもたおやかだが、内には揺るがない強さを秘める。
○…京都の美術大で6年間、油絵やメディアアートを学ぶ。「恩師との出会いが無ければ、いま創作活動をしているとは思えない」。一時期、過激なテーマで表現するアンダーグラウンドの現代アートに心酔した。「自分のものと言える自信が無くて、焦りが募った。身も心もボロボロになった」。そんな折、胸に突き刺さった恩師の言葉。『本当にやるべきことをやっていれば、心身ともに健やかなはず』。恩師のもと、美術の知識を学び直した。書籍を読むのは苦手だが、「その分野の本はミネラルウォーターのように身体に沁み込んできた」。
○…秋の展示会に向け、創作に明け暮れている。巨大スクリーンの前に立つと、カメラによって自分の姿も投影され、描かれた動物の視線を感じられる仕掛けを作る。「現代は自分の存在観が不安定になりがち。自分に気づかされるきっかけになれば」。伝えたい思いが原動力。独創的なアイディアは尽きることなく、今日も創作活動にまい進する。
|
|
|
|
|
|