7月に10周年を迎えたNPO法人横浜市中途障害者地域活動センター『青葉の風』の所長 中野 康子さん 都筑区在住
寄り添い、同じ方向を
○…「ミシンが上手になりましたね」、利用者に明るく気さくに声をかける姿が印象的だ。『青葉の風』は、事故や病気による脳血管疾患の後遺症で、障害者となった人たちが生活訓練、創作活動を行う。施設の立ち上げから関わり11年。強く感じるのは、「仲間との関わりで、前向きな気持ちが湧くこと」。自立を目的とする施設では、利用者の意欲が不可欠。「『できないことも多い、だけどできることはある』。それを見つけ、前を向く場所」と朗らかに笑う。
○…区の保健所で看護師として勤務していた11年前、区の職員から施設立ち上げのための声がかかった。医療分野は専門だが、福祉は素人。それでも引き受けたのは、他地域で施設長をやっていた知り合いの言葉。『利用者が元気になっていく様子を見るのは楽しい』という言葉に背中を押され承諾した。「福祉の制度を知っておきたい」と、通信制大学で2年間猛勉強し、社会福祉士の資格を取得。生活に一歩踏み込んで相談に応じられる様に。「医療は患者を引っ張るが、福祉は一緒に考え、寄り添う」。両者の視点を持ち、サポートの幅は広がる。
○…熊本県出身。4人兄妹の3番目。専業主婦だった母親から、「将来、手に職が絶対に必要」と教師か看護師を幼い頃から勧められていた。熊本で看護学校を卒業後、恩師の勧めで東京女子医科大学病院へ。消化器病棟に勤務し、生と死と向き合い続ける毎日だった。「気持ちもたくさん消耗した。それでも、人が好きだから自分には向いていると思う」。母の言葉が天職を導いてくれた。
○…夫、娘、息子2人の5人家族。娘と息子は医療関係の仕事に就く。「私の影響も少しはあるかな」と母の顔。映画が好きで夫や娘、友人を誘って見に行くことが息抜きだ。利用者、スタッフ、区の職員、地域の人、誰でも自然体で接する。「人に寄り添い、同じ方向を見る」。それが前向きな風を青葉に呼び込む。
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