(外面「障害者拠点、新設めざし」から続く)「署名活動は整備が不足している課題を区民に知ってもらう大きな力になると思う」。奈良町の障害者支援施設・青葉メゾンの施設長、中西晴之さんはこう話す。
中西さんは青葉区や都筑区での障害者施設建設に携わり、これまで地域住民の反対運動を3度にわたり経験してきた。1998年に設立された青葉メゾンは、建設予定地だった田んぼなどの保全を求めた住民が建設に反対。工事妨害や訴訟などが起こり、全国紙で特集が組まれるほどに発展。16年以上が経った今、まちにとけ込んだ施設にその面影は見えない。
毎春、施設の駐車場では1本のしだれ桜が花を咲かせる。施設建設後もまだ関係がぎくしゃくしていた99年に、近くに住む佐藤年緒さんら住民数人が「対立関係を変え、施設と一緒に地域をつくっていかなければいけない」と植えたものだ。
「施設と、自然保護を求めた住民が、環境も地域との関係性も再生していければ」。そんな思いが込められている。
◇ ◇
桜の成長とともに、一歩ずつ関係は変化していった。
障害のある利用者が製造・販売する近所のパン屋や、地域のバスや美容室、レストランで、住民と利用者が直接触れ合うことで、一歩一歩距離が近づいたと中西さんは感じる。
「障害者施設だから反対してた訳じゃない。もっと初めから話し合いに入れてほしかった」。近くに住む男性は当時を振り返る。施設をめぐる人々の思いはさまざまで、すべての感情が消えたわけではない。
それでも秋には3つの自治会と施設の祭りが同時開催され、住民が施設の中でコーラスをしたり、利用者が住民に向けてバザーを開催する。施設隣の「はらっぱ広場」で毎年1月に行われる3つの自治会主催のどんど焼きでは、住民と施設利用者らが一緒に火を囲む光景が見られる。施設は高齢者支援施設の機能も持っていることから、時が経ち、住民自身やその家族も利用するようになった。
「言葉だけでは通じ合わない。施設の中だけで完結せず、利用者が外で直接触れ合うことで変わってきた」と中西さんは思う。
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