昨年から引き続き、振り込め詐欺が青葉区内で多数発生している。6月16日時点で区内の被害件数は県下ワーストとなる48件、被害総額は約9600万円に上る。青葉区役所や青葉警察署、関係団体などで構成する「青葉区振り込め詐欺対策協議会」は6月を撲滅強化月間と位置付け、一丸となって被害防止に取り組んでいる。
過去最悪となる119件が発生した2018年と比べて今年は前年同日比でマイナス15件となっているものの、48件の被害件数は県下ワーストだ。加えて同署まで届けられていない被害も相当数あると見られ、被害実態はさらに多いと想定される。
発生件数の内訳をみると、オレオレ詐欺が31件と最多。犯行グループのメンバーは「息子役」「警察役」「被害者役」などの担当制で騙すケースがほとんどだという。また、最近は様々な理由を付けてキャッシュカードを要求してくるケースも多い。カードを渡してしまうと短時間に預金を引き出されてしまうことがほとんどで、同署は「万が一、犯人に渡してしまった場合は時間との勝負になる。被害に気付いたらすぐに110番を」と説明する。
続いて多いのが還付金詐欺の13件で、青葉区は他地域に比べて多いのが特徴。犯人が区役所職員などを装い、「医療費の過払い金があるため、払い戻しができる」などと言ってATMの操作を指示してお金を振り込ませる手口だ。犯人は「手続きの封筒は届いていますか」「今ならまだ払い戻しができる」と焦らせ、人目の少ないコンビニエンスストアのATMに誘導する手口が目立つという。区役所は「行政機関が電話で金融口座を尋ねたり、ATMの操作を指示することは絶対にありません」と注意を呼びかけている。
戸別訪問を実施
同署は一昨年から65歳以上の高齢者宅に個別訪問して注意を喚起。区内3万5千世帯のうち、現時点で2万6千世帯の訪問を終えている。そのほか、今年4月からは特殊詐欺対策のプロジェクトチームを同署内に立ち上げ、検挙と防止について対応強化も図ってきた。一方、区役所も地域との防犯パトロールを通じて地域で呼びかけを行うなど啓発活動を続けている。
被害を防ぐために
被害を防ぐ対策として、多少不便であっても自宅の電話機を常に留守番電話にしておくことが有効。また、着信前に相手方に通話を録音することを通知する迷惑電話防止機能付き電話機も登場している。そのほか、親と子で連絡を密に取り合い、状況を把握しておくことも被害防止に役立つ。
一方、「ATMで携帯電話を話しながら操作する高齢者を見かけた場合は声掛けや従業員への報告、110番を」と同署。今年6月には実際に目撃者からの通報で被害を防止できたケースもあるといい、地域全体で被害防止に意識を持つことが重要となりそうだ。
対策協議会の松澤孝郎会長は「多くの被害が出ており、危機的な状況だ。行政や警察、関係団体、区民すべてが一丸となって対策しなければいけない」と話す。また、地域ごとに細かく啓発していく必要があるほか、小中学校でも広報し、子どもが祖父母に注意を促すようにするなど、工夫していきたいと思いを語った。
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