〈連載【3】〉ギャンブル依存症対策 「世界最高水準」を強調 IRと横浜
市が誘致を表明したカジノを含むIR(統合型リゾート)に対し、懸念されるのがギャンブル依存症者増と治安悪化だ。今回は依存症問題に対する市の考えを整理する。
入場回数 法で規制
カジノによるギャンブル依存症者の増加は、IR誘致が議論され始めたころから常に懸念事項の筆頭に挙げられていた。
その対策として、2018年7月に成立した「特定複合観光施設区域整備法(IR整備法)」では、日本人客のIRへの入場は週3回、月10回までに制限し、6千円の入場料を取ることが規定された。未成年、暴力団員の入場禁止などを含め、すでにカジノが行われているシンガポールなとど比較し、国は「世界最高水準の規制」と主張する。
今年4月には「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」が閣議決定され、多機関の連携や協力を進めることが確認された。また、IR参入を見込む事業者からは、入場時のマイナンバーカードや顔認証などによる管理、家族からの申請で利用が制限できるようにするなどの対策が示されている。
外国の事例示す
市によると、依存症対策の先進例とするシンガポールはIR導入前から対策を進めてきた。24時間体制の電話やチャットによる相談窓口設置、中学生への予防教育などを行い、導入後に依存症者が大きく減ったという。 この主張に対しては、シンガポールは既存のギャンブルが日本に比べて少ないことや、テレビCMを禁止するなど、ギャンブルと市民の距離感が異なり、この種の取り組みが直ちに日本に当てはまらない、との指摘も一部市議などから出ている。
患者数把握せず
市はIR整備法による規制に加え、依存症治療を行う人材を市大医学部で育成するなど、独自の対策を掲げる。市内でギャンブル依存症治療を受ける患者数について、9月11日の市会常任委員会で市は「把握していない」とした。9月20日に成立した補正予算には依存症の実態調査を中心に懸念事項対策として3千万円を充てた。その審議過程で、依存症対策を県と連携して進めることなどを求めた付帯意見が添えられた後に成立している。
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