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青葉区 人物風土記

公開日:2021.05.20

一昨年の日展で総理大臣賞を受賞し、記念展を開催している日本画家
山下 保子さん
美しが丘在住 74歳

絵も人生もしなやかに

 ○…国内最大級の美術展「日展」で一昨年、総理大臣賞を受賞。昨年に記念展の開催を予定していたが、新型コロナの影響で中止となった。地元画廊主の熱望もあり、1年越しの開催を迎えた。「やっていただけてありがたい」。展示には受賞作「追憶」をはじめ、日本女性のしなやかな姿と植物が調和した作品が並ぶ。「その都度描きたいものを描く」ことを大切に制作に励み、「大作を描くときはいつも姪がモデル。生まれたときから描いているから、描き慣れているのでしょうね」とほほ笑む。

 ○…東京都出身。幼少から絵を描くのが大好きで、小学生のころ様々なジャンルの絵画教室を回って技術を学んだ。和のものに惹かれる性格だったこともあり、日本画の道へ。女子美術大学を卒業した頃、世間は絵画ブーム真っ只中。母校で教鞭を取りつつ、日本橋や銀座の百貨店で開催していた企画展に多く出品した。「当時は画商さんがいっぱい来て、月に2、3点出品していた時期も。大変でも充実していた」と懐かしむ。

 ○…祖母の見舞いで青葉区に来る機会が多く、自然豊かな土地に惹かれて24年前に移住した。作品にも大きな影響があったといい「緑が多い青葉区で過ごすうち、人物と一緒に自然や花を描くようになりました」。木々を眺めながら歩くのも好きで、山内公園を散策することもある。「青葉区に来られてよかった」

 ○…「年齢を感じさせない絵を描いていきたい」と語る。歳を重ねることが創作上プラスに働くこともあるが、集中力や緊張感が削がれた「気力がない絵は描かない」のが信条。感受性を保つ秘訣は「些細なこと、つまらないことも楽しんで」生きること。「この歳でそんなことを、と言われても楽しんでいい」

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