青葉警察署(橋谷田裕樹署長)は6月30日、コンビニエンスストアでオレオレ詐欺の被害に遭いそうだった高齢女性に声をかけて思いとどまらせた上、自宅まで送り届けたとして、すすき野中学校3年の松本悠希さんに感謝状を贈った。橋谷田署長は「正義感と優しさにあふれた本当に素晴らしい行動で、心から感動した」と最大級の賛辞を贈った。
詐欺未遂事案が起きたのは、6月8日の午後7時40分頃。学習塾の休憩中にコンビニエンスストアに立ち寄った松本さんが、焦った様子でATMを操作している高齢女性に気付いた。声をかけると、「息子が新宿駅にスマホを忘れた」「大事な書類が入っている」「急いで100万円を用意しないといけない」と訴え、機械の操作方法を聞いてきたという。
「ニュースで耳にした言葉ばかり。すぐにオレオレ詐欺かなと思った」と松本さん。ただ、「本当に困っていたらどうしよう」との気持ちも浮かんだ。それでも勇気を出して女性を説得。当初は困惑していた女性も、松本さんの真摯な訴えに現金を引き出すことを取りやめた。
自宅までおんぶ
様子を見届け、塾に戻った松本さんは講師の藤原史明さんに経緯を報告。すると話を聞いた藤原さんから強い口調でこう伝えられた。「今日は防げたとしても、根本的に女性を助けたことにならない。警察に送り届けて、解決するまで責任を持ちなさい。勉強よりも大切なことがある。すぐに女性を探しなさい」
その言葉に背中を押され、急いでコンビニに戻ると、店の外でうずくまる女性の姿があった。「一緒に警察に行きましょう」。呼び掛けたものの、もともと足が悪かった女性は、詐欺にだまされたショックで歩く気力を失っていた。
「送るので僕の背中に乗ってください」。サッカー部で培った体力で女性を背負い、約1・5キロ離れた女性宅まで30分かけて歩き続けた。そして家の電話を借りて青葉警察署に通報。駆け付けた警察官に事情を説明し、引き継いだ。
「大切な家族をだましこんなにも人を苦しめる詐欺は、本当に許せない。助けることができて本当に良かった」と笑顔を見せた松本さん。後日、報告を受けたという藤原さんは「おんぶして届けるとは想像以上。人間的に大きく成長する機会になったのでは」と嬉しそうに話していた。
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