コラム「学校と社会をつなぎ直す」㉞ 子どもの挨拶は学力に関連する! 桐蔭学園理事長 溝上慎一
市ケ尾中・荏田西小・東市ヶ尾小合同の学校運営協議会の委員をしている。地域の人たちが子どもの登下校を挨拶しながら見守っているが、子どもたちの多くがしっかり挨拶できているとは言い難い。する子はする、しない子はしない。学校も保護者も挨拶の意義は認めるが、そこまでうるさく言うほどのことかとも意見が出る。不審者対策で挨拶を控える指導をしている家庭もあろう。
学校運営協議会で子ども、保護者、地域の大人に挨拶に関するアンケート調査を行った。子どもの結果分析では、挨拶と教科学力との関係は認められなかったが、文科省施策で重視している「対話的な学び」や「探究的な学び」とは関連が認められた。挨拶しない子どもは、する子どもに比べて対話的な学びや探究的な学びが弱いのである。挨拶は他者への開かれた態度である。家族から始まり、友達、先生、身近な大人、社会へと同心円上に拡がる。その起点が挨拶ともいえる。学校の学習で対話や探究が弱くなるのは当然である。
偏差値上位の大学卒業生が、対話や探究が弱いばかりに就職や仕事・社会でつまづく例を山ほど見てきた。データ・資料も出そろっている。今の仕事・社会は教科の勉強だけできても厳しい。文科省が教科学力を基礎としながら、対話や探究的な学びを目指すのはそういう理由だ。挨拶運動の取り組みを拡げていきたい。
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