横浜市は9月20日、2024年度の「横浜マイスター」を発表した。今年度は青葉区鴨志田町で建具店を営む野口正男さん(56)が選定された。区内在住者からは4人目。
横浜マイスターは、1996年度から始まった制度で、市民の生活・文化に寄与する技能職者が選ばれる。選ばれた後は学校やイベントなどで技能の魅力を伝える他、後進育成や技能継承などの活動に取り組む。今回で第29期となり、野口さんを含めてマイスターは総勢71人となった。
野口さんは、(有)野口建具店(鴨志田町218の2)の2代目。サラリーマン生活を経て、1991年頃に入職した。同店では、家を建てる際に必要な「建具」の製作を請け負っている。
建具は建築物の開口部に設ける、ガラス戸、板戸、障子などの可動部分のこと。家を建てる際になくてはならない部分で、欄間や書院にあしらわれる。特に、亀甲組子や花形組子など独特な文様を手掛ける時には、特別な鉋を用いる。組子で使う木材はとても薄く折れやすいため、使う鉋も多種多様。製作には、野口さんが持つような高い専門技術が必要になる。しかし、近年では製作の機械化が進み、職人も著しく減少傾向にあるという。「今の住宅で使われている建具は90%以上が既製品となっており、和室が減っていることから建具の需要も低下している。そのせいで、手仕事による建具の製作が失われつつある」と野口さん。
そんな現状を危惧し、野口さんは技術を後世に伝えるべく奔走。実技を交えた勉強会の開催やSNSでの発信にも力を入れている。野口さんは「SNSなら技術を誰にでも伝えられる。後進や興味のある人の一助になれば」と笑顔で話す。
また、自身の技術向上にも日夜取り組んでおり、「同世代の職人から刺激をもらえる貴重な機会」と様々な大会に出場。今年2月に行われた技能グランプリでは銀賞を獲得した。「建具がきれいに収まると工事中の景色が一変する。お客さんが喜んでくれるのも嬉しい」とやりがいを話している。
マイスターの選定には、「試験の時はかなり緊張したけど、選ばれてよかった。大変な役目だけど頑張りたい」と意気込んだ。
全国建具フェア
野口さんも出展する「全国建具フェア」が10月11日(金)・12日(土)、午前10時から東京都立産業貿易センター台東館6階で行われる。入場無料。
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