今年のノーベル平和賞の受賞が決まった日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)。本紙では、同協議会の事務局次長を務める和田征子さん(81)=鶴見区市場上町在住=に受賞の喜びや、被爆者たちのこれまでの苦労、若い世代や今後の活動への思いを聞いた。
「これまで何度もから騒ぎがあり諦めかけていたけれど、連絡をもらった時は驚いたし、本当に嬉しかったですね」と言葉を噛みしめながら喜びを語る和田さん。「被爆者がずっと証言を続けてきたことが受賞理由になり、核兵器ではなく私たちの言葉が、核の使用を阻止する抑止力になったのだと、ノルウェーのノーベル委員会が評価してくれてありがたい」
被爆者たちが1956年に全国組織として結成し、核兵器の廃絶や被爆者の救済を訴える運動を続けてきた日本被団協。和田さんは1歳10カ月の時、長崎の爆心地から2・9Kmの自宅で被爆した。当時の記憶はないが被爆した両親や親族から当時の話を聞いて育ち、また、被爆者が社会から差別を受け続け、隠れるように生活してきた実情などを知り、40歳頃から被団協の活動に積極的に参加するようになった。「その頃はまだ証言できる先輩方が多くいたけれど、段々少なくなってきてしまった。被団協の平均年齢も86歳になった。今でも私が青年部って可笑しいでしょう」と肩を落とすが、「でもね、一緒に活動してくれる学生なども出てきてくれた。発信力はあるし、本当に心強い」と若い世代の協力を喜び、継承にも力を入れていきたいとする。
「過去の話ではない」
これまで数々の国際会議などに出席し、核兵器廃絶を訴えてきた和田さん。被団協の事務局次長だけでなく、横浜市原爆被災者の会会長なども務め、慰霊祭や講演会などを行っている。
ノーベル平和賞受賞によって改めて被団協の運動が評価されることを願いつつ、今後も政府に核兵器の廃絶と被爆者の救済を訴え続ける。世界唯一の戦争被爆国でありながら、核兵器禁止条約に参加していない日本。和田さんは「これまで被爆者の先人たちがどれだけ苦労したか。核使用は過去の話ではない。使用のリスクは高まっているし、私たちが証言することで悲惨さを伝え、核は絶対に使ってはいけないということを今後も伝えていきたい」と語った。
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