青葉区在住の絵本作家、なかえよしを氏(84)と妻の故・上野紀子氏が手掛けてきた人気絵本「ねずみくんのチョッキ」シリーズは、今年で誕生50周年を迎えた。それを記念して、50周年記念講演会「ねずみくんのじまん話」が10月27日、都内で行われた。
想像力育む作品
同シリーズは、赤いチョッキがトレードマークの「ねずみくん」が、作品ごとにいろいろな動物の仲間たちと、ユーモラスで心温まるやり取りを繰り広げる。シリーズを通して、繰り返しのセリフが続いた後の絶妙なオチや鉛筆で描かれたモノクロの絵と最小限の文章、背景を限りなく削り余白を生かしたシンプルな構図が特徴だ。なかえ氏が物語を担当し、上野氏が作画を担当する形で、1974年にシリーズ第1作「ねずみくんのチョッキ」が刊行されて以来、親子三世代に渡り親しまれてきた。
講演会では、ねずみくんの誕生から出版に至るまでの経緯や妻である上野氏との思い出話、なかえ氏が絵本作りで大切にする「シンプルイズベスト」について解説。「シンプル」の具体例を挙げつつ、「(ねずみくんは)余白を多くすることで、読み手の想像力を育むことを大切にしている」と説明した。また、デビュー当時、やなせたかし氏に賞賛されたことが嬉しかったと”じまん話”も披露した。
最後には、シリーズ42作目となる「ねずみくんとチョコレート」が1月上旬刊行予定と発表があった。
地元トークも
講演後、取材に応えたなかえ氏。50周年を迎えての心境を問われると「目の前のことをやっていたら50年も経っていた。あっという間でした」と振り返った。いつまでシリーズを続けられそうかとの質問には、「あと2つ、3つは考えている。元気なうちは続けたい」と意気込んだ。
また、青葉区に住んで50年以上のなかえ氏。「来た頃はまだ、たぬきが出ていた」と地元トークも披露。お気に入りの場所を問うと「桜台に住んでいたこともあった。桜が最高。桜の咲く時季は観て歩きます」と笑顔で話していた。
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