コラム「学校と社会をつなぎ直す」㊱ 自分事にするために必要なこと 桐蔭学園理事長 溝上慎一
脱炭素、生物多様性、資源循環等をテーマとする「サステナビリティ人材育成」プロジェクトに有識者として参加している。先日、自動車会社等従業員の1泊2日の研修会を視察した。テーマはCO2削減に向けた生活をどのように作るかであった。雪山に入り、木を切ってCO2の吸収量を測定し、割り箸を作り、具体的に体を動かして考える。活動を通して各自の日常生活の工夫が考えられる。
問題はこの工夫をどのように自分事にするかである。研修プログラムには2つの特徴があった。1つは、自分の言葉で「書く」「話す」「発表する」のアクティブ・ラーニングが徹底的になされたことである。サステナビリティに関する考えや気持ち、経験などを可視化し、頭の中の知識世界を再構成するのである。頭の中で本音で分かっていないことは行動にも移せない。もう1つは参加者同士のネットワーキングである。サステナビリティに関する考えや工夫を、「あの人がこういうことを言うのだ」といったように、具体的な他者と繋げて理解することである。プログラムには、参加者の人となりが分かるようになるための食事やレクリエーションの時間がかなり盛り込まれていた。人は、内なる他者を心に留めて行動するといわれる。あるテーマを「自分事」としていくポイントが分かりやすく実践された研修であった。
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