初出品で全日本アートサロン絵画大賞展で佳作に入賞した 松本 康さん あざみ野在住 60歳
いくつになっても挑戦を
○…全国から1200点を超える作品が集まった「全日本アートサロン絵画大賞展」の写実表現部門で、初出品の油彩画『鳴門大龍神』が佳作に入選。国立新美術館で展示されたほか、3月4日から兵庫県でも展示される。「自分が感じた迫力を込めた作品。見る人にも活力を与えられたら」
○…愛知県豊田市出身。絵を描くことが好きだった少年時代、お気に入りの題材はマンガ『あしたのジョー』の主人公・矢吹丈だった。しかし、人を救う職業に就きたいと中・高校では勉学に専念。大学では薬学を専攻し、大学院では漢方などを扱う中医学にのめり込んだ。「動物実験などを通して今まで見つかっていない薬理効果を追求する学問。新たな可能性が見つかるとわくわくした」と振り返る。
○…卒業後は関東近縁の薬局などで経験を積み、33歳で調剤薬局を開業。緑区で最大3店舗を展開し、若き経営者としてハードワークに耐えながらも充実した日々を送った。転機が訪れたのは昨年の1月。知り合いが鉛筆画を習っていて、ふと昔を思い出した。絵は絵でも初めての分野に挑戦しようと、見よう見まねで油絵を制作。「なかなか乾かないのは難しいが、塗り重ねることで色の深みが出るのが面白い」。始めて1年足らずでめきめき上達し、3作目の作品が国立新美術館の壁を飾った。
○…2人の娘は医師と薬剤師に。「親の背中を見てくれたのかな」と頬を緩ませる。仕事ばかりではなく趣味を持とうと、50歳で始めたロードバイク。友人も増え、休日になると江の島や箱根まで足を伸ばし、健康的な汗をかく。「いくつになっても目標があれば日々に張り合いが生まれる。70歳ではデジタルアートを始めようかな」と快活な笑みを見せた。
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