安倍政権が「成長戦略の要」に位置付けるカジノを含む「統合型リゾート施設（ＩＲ）整備推進法案」（※）が、今年の通常国会で再提出される見通しだ。ＩＲ誘致を検討する横浜市は法案の行方を注視するが、風紀の乱れやギャンブル依存症等を理由に世論は割れる。
林文子市長は昨年の衆院解散で法案が廃案になった後も、記者会見などでＩＲ誘致への変わらない意欲を表明。候補地として有力視されていた東京都や沖縄県の知事が相次いで誘致に消極的になる中、「横浜有力」の声が高まりを見せている。
大和総研は横浜、大阪、沖縄の３カ所にシンガポールと同規模のＩＲを建設し、利益を上げるとした場合、経済波及効果を約５・６兆円、運営の同効果を年間約２・１兆円と試算した。
一方、「市民の市長をつくる会」（後藤仁敏筆頭代表）等からなるカジノ誘致反対横浜連絡会は昨年11月、「カジノは国際観光都市横浜にふさわしくない」と反対署名３千筆を市に提出。依存症で自己破産者や自殺者が増える可能性などを訴えた。青葉区選出で、共産党横浜市会議員団の大貫憲夫団長は「カジノはギャンブル。刑法で規定されるように明らかに違法」と話す。さらに経済効果についても「莫大な費用が必要となるが計算通り回収できるのか」と疑問を呈する。
「頭ごなしに『カジノを悪』として否定するのでは一歩も進まない。利用者を外国人に限定するなど、懸念事項を減らす議論を充実させるべき」と指摘するのは自民党横浜市会議員団の黒川勝副団長。プラス、マイナス面を洗い出し、検証、議論する必要性を訴える。
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