中高生が物理や化学、生物などの分野の研究成果を発表する「第63回日本学生科学賞神奈川県作品展」の審査が10月24日に行われ、すすき野中学校3年の内垣はぬるさんが最優秀賞にあたる知事賞を受賞した。また、同中から3人、1組が特別賞を受賞。ほかにも6作品が入賞し、最多受賞者を出した学校に贈られる学校賞も4年連続で受賞した。
日本学生科学賞は、戦後日本の復興期に科学教育の振興を願い、1957年に創設された。理科教育の中学・高校生の公募コンクールとしては、国内で最も伝統と権威のある科学賞とされる。
地方審査にあたる神奈川県作品展への出品数は154作品。すすき野中学校は21作品を出品し、そのうち11作品が県知事賞を含む特別賞や入賞にあたる県科学教育振興委員会賞を受賞。過去最多の受賞数となった。
最優秀賞にあたる県知事賞を受賞した内垣さん=写真下段中央=のテーマはカモメのホバリングのメカニズムの研究。カモメがホバリングしている映像を見て「なぜ止まっているように浮かんでいられるのか」と関心を持ち、カモメの模型を作って扇風機による上昇気流で実験を重ねた。「模型を浮かせるのに苦労した」とはにかむが、毎晩2、3時間は実験に費やし、ホバリングを再現。連続写真を撮影し、レポートにまとめた。最優秀賞の受賞には「びっくりした。夏休みも塾が終わって毎晩実験した甲斐があった」と喜びを語った。
特別賞受賞に喜びの声
県教育委員会教育長賞を受賞した久保田桜さん(3年)=同下段左=の研究テーマは津波で塩害を受けた土地活用について。東日本大震災の津波被害のニュースに衝撃を受け、塩害を受けた土地の復興に「何か自分が役に立てないか」と3年間このテーマに取り組んできた。今年は塩害を受けた土で育てた作物の葉を茹で、その中から塩分を検出し、作物にも塩害が影響することを実証した。過去最高位の賞に久保田さんは「今の段階で結果を土地活用に役立てるのは難しいけど、これからも実験を続けていきたい」と話した。
読売新聞社支局長賞を受賞したのは泉凜香さん(3年)、若谷楓さん(2年)、三上真里奈さん(2年)=同上段右3人。合同で取り組んだテーマは、セミの鳴き声の違いのメカニズム。若谷さんや三上さんは「セミはなぜあんなに大きく鳴くのだろう」「種類によって音が違う」ことに着目。最初は恐々しながら解剖にも挑戦したという。「初めて虫網でセミを捕まえた」という泉さんは「2人と協力していろいろな結果を得られ、受賞もできてよかった」と喜びを分かち合った。
神奈川県中学校文化連盟会長賞を受賞した伊藤悠さん(1年)=同上段左=のテーマは、武田信玄 が発案したとされる川の氾濫を防ぐための「ひじりうし聖牛」の効果について。武田信玄が好きで夏休みに甲府で見かけた信玄考案の水流制御の仕組みを再現。聖牛の有無による水の流れの違いを研究した。伊藤さんは「レポートづくりが大変だったけど、楽しかった」と感想を語った。
そして、神奈川県科学教育振興委員会長賞を受賞した志賀希美さん(3年)=同下段右。「落下する水滴による水面変化その3〜その一瞬に隠された秘密に迫る〜」というテーマで研究。3年間続けてきた研究で、水滴が水面に落ちる一瞬に集中し、撮影を続けてきた。「片手で水滴を落として反対の手で撮影したり、地道な作業だったけど、綺麗な形や仮説通りの形が撮れた時が嬉しかった」と振り返った。
特別賞受賞者の次の舞台は全国。すでに予備審査の準備が進み、12月の最終審査に20作品が進出する。同校の小林靖幸教諭は「自分たちでテーマを決め、長い時間をかけて研究したという経験が、今後の学生生活にも役立てば」と話した。
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