コラム㊶専門医が分かりやすく解説 目のお悩みQ&A 『近視が強いと眼の病気が出やすいと聞きましたが、どう注意したらよいでしょうか?』
近視は主に眼の長さ(眼軸長)が長くなることでピントの位置が手前になり遠方が裸眼で見えにくくなる状態ですが、近視の値がマイナス5Dを超えると「強度近視」といわれます。強度近視は単に眼の長さが長くなるだけでなく、網膜や視神経なども引き伸ばされて構造的な弱さを呈してしまうことが問題です。
一番は網膜に穴が開き眼の壁から剥がれてしまう「網膜剥離」です。初期症状の飛蚊症や光視症が出たら早い段階で受診し、網膜裂孔ないし軽度の剥離ならレーザー治療で済む場合もあります。しかし、網膜がある程度剥がれてしまうと、本格的な手術が必要です。
その他、緑内障も出やすいです。緑内障は初期の自覚症状が出にくく、症状を自覚するのは進行後ですので、40歳を過ぎたら検診を受けることが大切です。網膜の中心部の黄斑に新生血管を生じ、近視による黄斑変性を起こすこともあります。治療には硝子体注射などが必要になります。
白内障についても水晶体の中心部が硬くなる「核白内障」が多く、近視が急に進むことがあります。眼鏡がすぐ合わなくなるようなら疑う必要があります。また、レーシックや白内障手術などで近視を治した場合でも、元々の近視の眼の特性は残るため、こういった病気に注意が必要です。強度近視の方は、何か不調を感じたら、早めの受診が重要です。
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