コラム「学校と社会をつなぎ直す」㉛ 実りに繋げる学校現場の実践 桐蔭学園理事長 溝上慎一
中央教育審議会で次期学習指導要領に向けた議論が始まった。末席ながら、私も委員として参加している。新しい施策が提起されるはずである。
現行の学習指導要領での提起の一つは「主体的・対話的で深い学び」であったが、施行開始と同じ年に『令和の日本型学校教育答申』が出された。そこでは「個別最適な学び」「協働的な学び」が必要であると謳われた。学校現場にとって「○○の学び」のオンパレードである。
決して間違った施策提起ではないながらも、学び一つ一つに捕らわれ実現しようとするのでは現場は疲弊する。それぞれの学びの背後にある本質を理解して総合的に実践することが求められる。例えば「個別最適な学び」は「主体的な学び」に、GIGAスクール構想で始まったICT利活用を加えたものともいえ、そのようにまとめられるならば、「個別最適な学び」は「主体的な学び」の延長線上で理解することができる。実践的にはいろいろ要素が加わっても「主体的な学び」をしっかり育てることに尽きる。
変化の速い現代社会では「〜が必要だ」のメッセージが次々と発信される。しかし、メッセージをそのまま受けるのではなく、学校現場が自身で咀嚼して総合的に実践に落とし込むことが求められる。そのためには勉強が必要だ。実りに繋げる学校現場の実践を期待したい。
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