桐蔭横浜大学の新学長に4月1日付で就任した 佐藤 宣践(のぶゆき)さん 秦野市在住 72歳
己を尽くし、舵を取る
○…大きな身体に大きな声。「大学をグレードアップしたい」と目標を明確に打ち出す。副学長として4年を過ごし、この春から学長として運営の舵を取る。大学の競争時代にあって、グローバル化とスポーツの活性化の2つを柱と位置づけ、意気込みを語る。
○…函館市で生まれ育ち、4歳上の兄に憧れて中学時代に柔道を始めた。選手としては全日本選手権と世界選手権で優勝、指導者としては名門、東海大学の礎を築く。金メダリストの山下泰裕・井上康生両氏を含め、13人の世界チャンピオンを育て上げるなど、その実績は枚挙にいとまがない。一方で「私はずば抜けた素質を持っていなかった」と現役時代を振り返る。立ち技に必要なバネやスピードが他の選手よりも劣っていることを自覚し、徹底して自分の得意な寝技を磨いた。ついた呼び名が「寝技の佐藤」。地味な柔道と言われたが、研究と工夫と努力で日本と世界の頂点に。感じたことは諦めずに挑戦すること「力(りき)必達」(努めれば必ず達す)だった。
○…才能溢れる選手を前に、指導者として常に考えていたのは「いかにやる気を起こさせ、いかに持続させるか」だった。それは学長として学生や職員に対する際にも変わらない。トップダウンとボトムアップのバランスを取ろうとする姿は、豪快な雰囲気とは全く別の繊細さを見せる。プライベートでも自己管理を徹底し、お酒を飲むのも週末のみ。趣味は剣道と書道。「ゴルフもやったけど性に合わなかった」と笑う。
○…若い学生に伝えたいことは今でも「力必達」の精神だ。しかし、柔道界で様々な要職に就き、組織を率いるなかで、目標に達せなくても一歩でも二歩でも近づくことの大切さも知る。「大事なのは『尽己』(己を尽くす)だよ。『Do my best』だ」。学長としての任期は4年。「やると決めたからには、倒れる時は前のめりに倒れたい」。大学の未来に己を尽くす。
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