〈連載【2】〉 市が描くIR像 国内最大級の統合施設 IRと横浜
カジノを含むIR(統合型リゾート)誘致を表明した横浜市。9月20日の市会本会議では、誘致準備費用2億6千万円の補正予算案が可決、成立した。事業者の公募・選定など誘致に向けた動きが本格化することになる。連載2回目は市が描くIR像を紹介する。
12事業者が提案
市が考えるIRのメリットは政府方針と同様に「観光の振興」、地元経済の活性化と雇用増加による「地域経済の振興」、カジノ納付金などによる「財政への貢献」だ。
そのメリットを生かすため市は、政府の動向を注視してきた。2018年7月の「特定複合観光施設区域整備法(IR整備法)」の成立を受け、調査の一環としてIR事業者に情報提供を依頼、国内外12事業者からさまざまな提案があった。
提案を踏まえ市は以下の概要を想定する。▽国内最大級のMICE施設(国際会議場や展示場)13万8千〜19万2千平方メートル▽国際水準の豪華さで大規模なホテル(客室数2700〜4800室)▽一流のエンターテインメントが提供されるアリーナ・子どもも楽しめるアトラクション施設。イメージはビジネス客からファミリー層まで幅広く楽しめるリゾートだ。
具体像はこれからだが、市は構成要素の1つ、MICE施設を「これまでにないようなスケールとクオリティ」とし、MICEビジネスの「国際競争力を飛躍的に向上」させるとしている。
カジノで支える
市の調査では12事業者すべてが立地場所に中区の「山下ふ頭」をあげた。約47ヘクタールの広大な面積があり、都内から1時間程度とアクセスも良く、誘客において地方都市より優位に立つ。ここが横浜IRの強みと見ている。林文子市長も8月22日の記者会見で山下ふ頭が候補地と明言している。
政府が掲げる「日本型IR」は、区域内にホテルや国際会議場・展示場、レストランにショッピングモール、劇場や水族館などを想定。これらの大規模な投資を伴う施設の採算性をカジノの収益で担保する仕組みで、横浜のIRも同様だ。カジノはIR施設の床面積合計の3%を上限とする。
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