東洋英和女学院大学の学生が持続可能な開発目標(SDGs)に貢献するコーヒーのドリップパックの企画、製作に企業と連携しながら取り組んでいる。商品としてPR活動を続けることで生産者支援につなげる狙いだ。
SDGsとは、「誰一人取り残さない」という理念のもと、貧困や格差をなくし、持続可能な社会を実現するために2030年までに世界が取り組む行動計画のことだ。
同大の国際社会学部で行う授業の一環で、2018年9月、コーヒー豆の輸入・販売などを行う株式会社ミカフェートの川島良彰氏を招き講演会を実施した。コーヒーを通じた持続可能な社会作りに貢献する川島氏の講演に感銘を受けた学生の有志メンバーが教職員なども巻き込み、「東洋英和コーヒープロジェクト」(片山友理香代表=人物風土記で紹介)を発足させたのは、昨年の5月だ。「女子大生にサステイナブルコーヒーを広げたい」。そんな思いを持って集まったメンバーたち。まずは、どのような豆を使用するかを話し合ったという。
豆選びにもこだわり
コーヒーを試飲するために同社の一ツ橋店を訪問。「女子大生が飲みやすい味はどんな味か」を議論した。その結果、選んだ豆は、オレンジのフレーバー、ミルクチョコレートの余韻が楽しめるものになった。生産者である南米コロンビアのベジャビスタ農園が、生態系を守りながらコーヒー豆栽培を行っている点や、女性従業員が働く点も選定の大きな理由だ。
生産者と消費者つなぐ
生産者と消費者をつないでいることを連想させるドリップパックのデザインも学生たちが考案。左側には、コーヒー豆の苗を持っている生産者で農園主のアルマさん、右側には、コーヒーを持つ消費者である同大生の姿を描いた。カラーは、女子大生らしいピンクと同大のカラーであるガーネット色を使用している。
広める活動も積極的に
ドリップパックが完成したのは昨年10月。同大で11月に実施された学園祭「かえで祭」や12月のクリスマスチャリティでは、寄付金をもらった人にドリップパックを贈呈した。かえで祭では、1杯300円でコーヒーも販売し、約500杯を提供した。
寄付金の額は、約20万円となった。集めた寄付金は、障害者の社会参加を支援しているコロンビアの農園に全額寄付する予定だという。
同プロジェクトの一連の活動は、SDGsの掲げる17目標の中でも、「ジェンダー平等を実現しよう」「働きがいも経済成長も」「つくる責任つかう責任」「陸の豊かさも守ろう」「パートナーシップで目標を達成しよう」の5項目に当てはまっているといえる。
学内で活動報告会
16日には、同大の1年生に向けて一連の活動を報告する会が設けられた。報告会では、プロジェクトの歩みのほか、コーヒーやSDGsについてのクイズ大会なども行われ、盛り上がりを見せていた。
代表の片山さんは「一連の活動が形になったことは、とてもうれしい。みんなにサステイナブルなコーヒーを飲んでほしい。コーヒー一杯で身近にSDGsに貢献できる選択肢があることを知ってほしい」と呼びかけていた。また、メンバーの篠原舞理美さんは「日本とコロンビアは離れているけれど、コーヒーの生産の背景を知ってもらうことで、生産者と消費者がつながることができる」と話した。
現在、同プロジェクトのメンバーは約15人。来年以降も継続して活動していくためにメンバーを募集しているという。片山さんは「企業や教職員を巻き込んで、たくさんの経験ができる。継続していくことが大切なので、今後も頑張りたい」と意気込みを見せた。
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