トップインタビュー 「パン屋の課題を業界全体で解決」 株式会社ハットコネクト(中区海岸通)中島 慶 代表取締役
-まず主な事業内容について教えて下さい
「一つはパンのセレクトショップ事業です。横浜高島屋の『カナガワベーカーズドック』では、県内約60店のパン屋から仕入れた多種類のパンを販売しています。もう一つはOEM事業。ライセンス契約を結んだパン屋からレシピの提供と技術指導を受け、自社工場で製造・販売しています。日本は世界の中でもパンのレシピが非常に多く、味のレベルも高い。このパンの多様性は日本の大きな資産だと思っています。しかし深夜1、2時に起きて作ったパンが夜には大量廃棄になることも多く、労働時間や跡継ぎの問題で廃業するパン屋も…。日本のパン文化を残すため、職人が引退した後もそのブランドや味を残していけるような仕組みにしました」
-事業のきっかけは
「自分がパン屋に就職し、フードロス、人手不足、労働時間といった課題を解決するには、業界全体で取り組む必要があると痛感しました。パン屋の負担を減らしながら顧客に楽しみを感じてもらえるようなビジネスモデルを構築したいと考えたのがきっかけです」
-瀬谷駅にオープンした冷凍パン専門店「時をとめるベーカリー」もその取り組みの一つですね
「ベーカリー業界が抱える課題の一因に『パンの賞味期限の短さ』があると考えました。液体凍結機『凍眠』((株)テクニカン=都筑区)を活用し、約50店500種類以上のパンを店内で冷凍販売しています。液体凍結は熱伝導率が良く鮮度を保ったまま急速冷凍できるので、これまで冷凍には向かなかった惣菜パンやクリームパン、メロンパンなども風味を損なわず冷凍できます。解凍も電子レンジで簡単に食べられる点にこだわりました。冷凍パンを社会に広げることによってフードロス削減や、パン職人の製造時刻の制約がなくなり労働環境を改善できると考えています」
-オープン後の反響は
「意外にもお子様連れや高齢者のお客様が多く、私が思っていた以上に冷凍パンが幅広い世代に受け入れられていると感じました。話を聞くと『賞味期限が長い冷凍パンなら食べきれないという心配がなく、安心して好きなパンを購入できる』とのこと。今後の需要を見ながら高齢者施設へ冷凍パンの常設ケースを設置することも検討しています。多くの人がパンの多様性を楽しめる社会にしていきたいです」
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