虐待や性暴力で被害を受けた子どもたちに寄り添って心理的な負担を減らそうと、市内のNPO法人「子ども支援センターつなっぐ」が「付添犬」の普及に取り組んでいる。まだまだ課題も多いが、7月には付添犬を題材とした書籍が出版され、付添犬が活躍する場として小児科病院に司法面接室を作る計画も進んでいる。
付添犬のキース(ゴールデンレトリバー)とアンジェロ(ボロニーズ)、同NPOのメンバーが7月19日、神奈川県議会の敷田博昭議長と曽我部久美子副議長を訪問し、活動を報告した。
「付添犬がいてほしい時にどの子にも付き添える環境を整えることが目標。今は一歩踏み出したばかり」と話すのは、同NPOの代表理事で弁護士でもある飛田桂さん。
付添犬とは、被害を受けた子どもが安心して自分の受けた出来事について、司法関係者や医療従事者などに伝えられるように手助けをする犬。子どもの足元に寄り添ったり、抱っこされたりして、子どもたちの精神的な負担を和らげる。
現在、同NPOと連携を結んだ日本介助犬協会(JSDA)と日本動物病院協会(JAHA)を通じ、付添犬認証委員会の認証を受けた9頭が関東地方と中部地方を中心に活動しているという。
2020年には虐待を受けた子どもの裁判で付添犬が全国で初めて出廷することが認められた。7月21日に発売された『いっしょにいるよ-子どもと裁判に出た犬 フランとハッシュの物語』(小学館、税込1430円)は、この初出廷の実話をベースに弁護士や医師、獣医師らが手を取り合い、悪戦苦闘しながらも付添犬が活躍する場づくりに取り組んだ感動ストーリーを描いている。
理事の吉田尚子さんは「本を通じて多くの人に付添犬の取組や苦しんでいる子どもがいることを知ってほしい」と話す。
「法制度の枠組みを」
ただ課題も少なくない。盲導犬・介助犬・聴導犬は法制度で位置付けられ、公共施設をはじめ各種の施設で受け入れられるが、付添犬は制度化が進んでいないため、施設に入ることが難しい。
飛田さんは「法制度の後押しがないので、全国展開に向けての枠組みが必要。ハンドラー(管理者)やワンちゃんを増やすためにも経済的な課題がある」という。
敷田議長は「付添犬の活動が全国に先駆けて神奈川県で誕生し、活動がスタートした。県議会としても支援し、先導役としての使命があると感じる。虐待で苦しむ子どもたちにこれまで以上に寄り添っていきたい」と話している。
緑区版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|