新治市民の森内の池ぶち広場で5月26日、伊藤風人(ふうと)さん(15)による「ヴァイオリンミニ演奏会」が開催された。伊藤さんが演奏したバイオリンは同市民の森で伐採された木材を加工したもの。演奏を終え「貴重な体験になった。これも一つの森の循環だと思う」と伊藤さんは語った。
ミニ演奏会は、同市民の森愛護会(野田重雄会長)の会員らが見守る中で行われた。伊藤さんは『チャルダッシュ』(モンティ)や『ニュー・シネマ・パラダイス〜愛のテーマ』(モリコーネ)など3曲を演奏。森の中に染み込んでいくような演奏を聴いた会員らからは大きな拍手が贈られたほか、「野鳥たちが演奏に合わせて鳴いているように感じた」といった感想が寄せられた。
伊藤さんは、小学1年生から中学3年生まで、霧が丘にある横浜シュタイナー学園に通った。小学4年生からバイオリンを習い始めた伊藤さんはある時、バイオリン職人の自伝書を目にして「自分も作ってみたい」と思うようになったという。以前から、同学園の保護者であり同愛護会会員でもある小山哲哉さんが独学でバイオリンの制作経験があるという話を聞いていたことから相談をすることに。その結果、市民の森で伐採されたサワラとケヤキの間伐材を譲ってもらったという。その後は小山さんから借りた工具を使用し、指導を受けながら1年以上をかけて完成させた。制作での苦労を伊藤さんは「縁に施す細工を掘る所が一番難しかった」と振り返った。
バイオリン制作がきっかけとなり、現在は同愛護会にも入会している。ミニ演奏会終了後は、会の活動に参加し、原木しいたけを栽培するための菌を植え付ける作業に汗を流した。
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