欧州連合(EU)加盟国の大使や外交官らが全国の高校を訪問し、EUの制度や加盟国の文化などを紹介する出張授業を行う「EUがあなたの学校にやってくる」が10月30日、森村学園中等部・高等部で開催された。同校によると、現在同大使館に勤務する同校の卒業生の縁もあり、今回の出張授業が実現した。
来校したのは、駐日アイルランド大使館のキャサリン・オドノヴァン副代表。同校の中高生たちを前にEU設立の歴史のほか、現在27の加盟国があり、域内の総人口は日本の4倍ほどの約4・5億人に上ることも紹介した。経済や安全保障分野などでの日本とEUとのつながりにも触れ「日本はEUにとって大切なパートナー」と同副代表。アイルランドが加盟したのは、EUという名称になる前の1973年で「昨年は50周年のお祝いをした」とも語った。
『スターウォーズ』の撮影地
また、大きなスクリーンにたくさんの写真を表示しながらアイルランドの文化や料理、世界遺産などについても紹介。「国土が北海道とほぼ同じ広さであること」「アイルランド語と英語の2言語が公用語であること」などのほか、アイルランドの風刺作家ジョナサン・スウィフトによる『ガリヴァー旅行記』など日本でもよく知られる文学作品や、アイルランドがハロウィーンの発祥の地であることなども解説し、生徒たちの関心を集めた。
途中、オドノヴァン副代表が「皆さんの中に映画『スターウォーズ』のファンはいますか」と生徒たちに問い掛ける場面も。数名が挙手する中、アイルランドの世界遺産として知られる島「スケリッグ・マイケル」の写真を紹介。「この島は『スターウォーズ』の撮影が行われていた場所なんです」と語り、生徒たちの心を一層強く引き付けた。
関心の高さに「驚き」
質疑応答の時間になると、生徒たちから次々と質問が飛んだ。移民数の増加などさまざまな国情を背景に、2020年にイギリスがEUから離脱したことに関連し「EUが抱える移民問題について教えてください」と尋ねた生徒や、アイルランドの宇宙開発への関わりについて質問した生徒も。中には「どうやって現在のキャリアを築いたのですか」と、「職」への関心から問いを投げ掛けた生徒もいた。流ちょうな英語で質問する人も少なくなく、講演終了後、降壇したオドノヴァン副代表がいる別室を訪ね、さらにコミュニケーションを深めようとする生徒たちの姿もあった。
参加した高校1年の男子生徒は「大使館は自分にとって遠い存在だと感じていた。大使館の人が学校に来てくれるなんて、自分の人生で一度きりの経験だと思う。僕はヨーロッパが好きなので、アイルランドの自然や文学などについて知る機会をいただけてうれしかった」と語った。
オドノヴァン副代表は「生徒たちはEUやアイルランドについて、驚くほどしっかりと事前にリサーチしてくれていた。英語がすごく上手い子が多いことも素晴らしい」と笑顔で話していた。
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