ボクシングの日本女子フェザー級チャンピオンで、今月初防衛に成功した 若狭(わかさ) 与志枝さん 町田市在住 36歳
拳にも掌(たなごころ)にも思い乗せ
○…リング上では、強烈なパンチを放つ拳。リングを降りれば、誰かの大切な思いが詰まった郵便物を届ける優しい掌へと変わる。ボクシングの日本女子フェザー級王者として今月、後楽園ホールで初防衛に成功した。「うれしかった。職場の仲間の声援も力になった。応援があると無いとでは違いますね」。週5日、緑郵便局の配達員として区内を駆ける日本王者。その凛とした声の奥に、支えてくれる大勢の人たちへの感謝の思いが滲んでいた。
○…東京都出身。中学時代はバスケットボール部で汗を流した。ボクシングを始めたのは24歳の時。きっかけは東日本大震災だった。「怖いな。もしここで死んでしまっても、後悔は無いだろうか」。自身の人生を見つめ直し「本当にやりたいことって何だろう」。自問する中、以前ボクシングを楽しむ女性を映したテレビのニュースを目にしたことを思い出した。「これだ。自分もやってみたい」。挑戦心に突き動かされ、辿り着いた花形ボクシングジム(都筑区)の門を叩いた。
○…10年ほど前にプロデビューすると、最初の試合をいきなりKO勝利で飾る。類いまれな才能におごることなく、同ジムの恩師の「継続は力なり」の教えを胸に「反復練習を大切に」して腕を磨いた。休日は趣味のカフェ巡りなどを楽しむ。中目黒によく訪れたが、最近は主に町田市内を巡り「友人とのひと時も、一人で過ごす時間も大切にしている」。
○…20代で緑郵便局に勤め始めたのは、郵便局員として働きながらボクシングを続ける先輩の勧めが契機。「時間の融通が利くので」トレーニングとの両立がしやすいという。目指すは世界王者の座。チャレンジ精神を大切に、さらなる高みへ。拳で道を切り拓く。
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