知的障がいのある生徒と健常な生徒が同じ教室で学び、部活動などを含め一緒に学校生活を送る「インクルーシブ教育」。神奈川県では、今年4月の入学生から、同教育を推進するインクルーシブ教育推進実践校11校を新たに追加で指定。実践校は県内で14校となり、県内すべての地域から通うことができる体制となった。区内では、霧が丘高校(石倉隆之校長)が実践校に指定され、4月から17人(定員21人)の知的障がいのある生徒を受け入れる予定だ。同校の石倉校長に受け入れの体制や、インクルーシブ教育の効果について聞いた。
──17人の知的障がいのある生徒を今年4月から受け入れます。どのような体制ですか。
「1クラスに2人から3人の知的障がいのある生徒が入ります。通常の担任とは別に、支援担任を6人設けます。支援担任は、特別支援学校での経験がある教諭も複数います。生徒や教諭に向けて、知的障がいのある人との接し方などを学ぶ研修も行っています。また、サポート役として、支援員も2人設け、万全の体制で生徒を迎えます」
教育の効果とは
──インクルーシブ教育は、知的障がいのある生徒にとって、どのような効果をもたらすと考えますか。
「まずは、受験の幅が広がることです。特別支援学校に進学するという選択肢のほかに高校に進学し、高校教育を受ける機会が与えられることは良いことです。学習だけでなく、部活動や行事などにも一緒に参加できます。そのような学校生活を通じて、新たな友人との出会いや小さな成功体験などを積むことによって、自己肯定感も高まっていくでしょう。また、知的障がいのある人が、社会で自立して働ける環境は、まだまだ整っているとは言えません。今後、社会でいきいきと働くことができる世の中にしていくためにも、多様な人と交流することは大きなメリットです」
──健常な生徒も共に学ぶことでどのような効果がありますか。
「なかなか知的障がいのある人と接する機会は少ないのが現状です。普段から接することで、理解が深まると思います。互いに協力し合い、学ぶ経験は人生の財産になります。また、そのような経験のある生徒が社会に出た時に、障がい者も働きやすい社会作りを担うリーダーになる可能性も広がります。私達、教育者の使命としても、そのようなリーダーを育成していきたいです」
「障がいは個性です」
──インクルーシブ教育を推進することで、どのような未来の社会を描いていますか。
「障がいに対する差別や偏見などの垣根が取り払われ、相互に理解し合い、認め合う関係を築けるようになると思います。そして、障がい者が主体的にいきいきと力を発揮できる共生社会が実現できると信じています。就労面では、様々な仕事に就けるようにチャレンジできる環境も作っていかなければなりません。障がいを”障がい”ではなく、”個性”と捉える人が増える未来を望んでいます」
──地域の人へ求めることはありますか。
「思いっきりチャレンジできる教育を目指していきたいと考えています。取り組みのなかで、サポートをお願いすることもあると思います。その際は、ぜひ、ご協力を頂けたらうれしいです」
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