気候変動の影響などで今夏も頻発したいわゆる「ゲリラ豪雨」。都内では1時間に約100mmの雨量を記録し、マンホールの蓋が吹き飛ぶなどの被害が発生した。台風をはじめ、まだまだ大雨に注意が必要なこの時期。横浜市下水道河川局では、雨水貯留施設の機能を最大限発揮するため市民の協力が不可欠と話している。
同局によると、マンホールの蓋が吹き飛ぶ原因は、突然の豪雨で下水管内の水位が急上昇し空気圧が高まるため。
マンホールの蓋は主に鋳鉄製で、市内に約54万枚敷設されている。耐用年数は車道で約15年、歩道で約30年。横浜市では2007年頃から飛散の防止機能が付いたロック式と呼ばれる蓋を採用。さらに最近では蓋の上部から排気や排水ができるタイプのものへの交換も進めている。
また豪雨の際に、下水管内の空気を逃がすための「空気抜き」として、地上に塩化ビニール製の管が市内約100カ所に整備されている。
落葉やブロック、排水妨げ
横浜市内の下水道網は総延長1万1000Km。直径80cm未満の細い管が約9000〜1万Km、人が出入りできる80cm以上の管が1000〜2000Km走っている。
浸水対策として、横浜市は25年度までの下水道事業中期経営計画で、地盤の高い地域は1時間あたり約50mm、低い地域は同約60mmの降雨に対応できる雨水幹線や雨水調整池を、横浜駅周辺では同約74mmの降雨にも耐え得る雨水幹線の整備を進めている。ただ「雨は均等に降る訳ではないため、排気が間に合わず、空気圧の影響で道路が破損し、蓋が吹き飛ぶ可能性はある」(下水道局)という。実際に19年9月の豪雨では1時間に100mmの雨量を記録。蓋の浮き上がりで、道路の損傷が54件発生している。
一方で雨水貯留施設が整備されているにも関わらず、側溝の蓋(街渠升)を落葉や歩道へ乗り上げるためのブロックが塞いでしまい、排水を妨げているケースがあるという。市担当者は「古い設備の更新や新技術導入を進め、台風や集中豪雨に備えていくので、市民の皆様にも排水機能確保に協力を」と話した。
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