タウンレポート 歴史の"証人"を後世へ 日吉台地下壕保存の会
慶応大学日吉キャンパスの地下を中心に総延長5千mにも及んで張り巡らされている、太平洋戦争末期に構築・使用された「日吉台地下壕」。当時、旧帝国海軍連合艦隊司令部や艦政本部など5つの組織が入り、戦艦大和出陣や沖縄戦などの指令は、この日吉の司令部から発せられたという。
今なお現存する、この歴史的にも貴重な戦争遺跡を保存・活用し、戦争と平和について考えてもらおうという活動を続けているのが、「日吉台地下壕保存の会」(大西章会長)だ。2010年度には、神奈川県が地域社会への貢献度が高い団体に送る「ボランタリー活動奨励賞」を受賞するなど、評価も高い。
同会発足は1989年。慶大関係者や地域住民などを中心に、見学会や展示会などを通じ調査・研究や保存を呼びかける。特に力を入れる見学会には、年間1千人以上が訪れている。
大西会長は、「地下壕は戦争当時を具体的に現している。机の上だけでは分からない歴史を感じられるはず。当時この場所にいた彼らが考えていたことを理解し、二度と戦争を起こさないように学んでほしい」
また、同会では語り部(ガイド)の養成にも積極的に取り組む。「悲惨な戦争の記憶を伝える人が少なくなっていく中、語る人や資料があってこそ地下壕という歴史の”証人”としての存在意義はより大きくなる」
今後は、常設資料館の建設や、戦争遺跡指定の早期実現などを目標に、日吉台地下壕の活用を進めていく方針だ。
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