本紙では新春企画として横山日出夫港北区長にインタビューを行った。横山区長は市民力を再認識した一年と昨年を振り返るとともに、今年も防災や福祉など支え合いのまちづくりに区民と協働で取り組む姿勢を示した(聞き手/本紙港北区編集室編集長・木曽祐司)。
「豊かな市民力に感謝」
――2017年の振り返りをお願いします。
「3月に待望の横浜北線が開通し、全国都市緑化フェアが幕を開けました。記念として、大倉山記念館前に『シドモア桜』を植樹してほどなく、小机城が『続日本百名城』に選定されました。明るい話題の多い春でしたが、保育所等の利用申請をされていた方にとっては、それどころではなかったかと思います。待機児童の解消に向けて、引き続き努力してまいります。
昨年の夏、全国各地で記録的な豪雨による甚大な被害が発生しました。地震への備えを含め、防災の重要性を改めて認識した年となりました。
高齢者の増などを背景に、振り込め詐欺、火災、救急車の出場件数が年間を通じて増加しました。被害に遭わないための啓発、救急隊員がご本人の医療情報等を把握できる仕組みづくり、健康寿命を伸ばすための取組などの必要性を痛感しました。
当区の出生数は、政令指定都市の175の全行政区の中で第1位です。人口減少に悩む自治体が多い中、こんなにうれしいことはありません。慣れない土地で初めての出産に直面するお母さんが多い当区にあって、子どもの健やかな育ちを地域全体で応援する取組が、多くの方の参画により、着実に進んでいる手応えを感じています。
解決すべき課題はたくさんありますが、当区には豊かな市民力があります。区民・団体・企業の皆様の活発な地域活動や社会貢献活動に支えられて、港北区のまちづくりが成り立っていることを改めて認識した一年でした。皆様に心から感謝申し上げます」
「ひっとプラン」着実に
――区長として、今年の区政運営上の重点事項をお聞かせください。
「今この時は、いつか必ず起きる大きな自然災害に、今までで最も近づいた瞬間です。この危機感を区民の皆様と共有し、引き続き、防災・減災に重点的に取り組みます。
出生数の多い当区で、安心して子どもを産み育てることができるように、妊娠期から切れ目ない支援を行うなど、これまで以上に子育て支援に取り組みます。
第3期港北区地域福祉保健計画『ひっとプラン港北』を着実に推進するとともに、いわゆる2025年問題の解決に向けて、3月に策定予定の『よこはま地域包括ケア計画』に基づき、具体的な取組を進めます。
ラグビーワールドカップ2019TM、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、機運醸成を図るなど、魅力あふれる街づくりにも取り組みます」
区民と未来を共創
進むダイナミックな開発
――日吉と綱島地区における街づくりの進捗・展望についてお聞きします。
「綱島駅と日吉駅を結ぶエリアでは、複数の次世代環境型開発プロジェクトがダイナミックに進んでいます。
綱島駅の東口駅前から相鉄・東急直通線の『新綱島駅(仮称)』周辺までを含むエリアでは、渋滞や違法駐輪などの課題を解決するため、一体的な開発を進めています。再開発ビル内には、区民文化センターを整備します。
パナソニック工場跡地で進められている『綱島サスティナブル・スマートタウン』は、3月にグランドオープンを迎えます。交流拠点となるタウンマネジメントセンター、水素ステーション、国際学生会館、高齢者の社会参加を促進する『生きがい就労支援スポット』のある大型商業施設、アップル社の技術開発センター、集合住宅などからなる新しい街がいよいよ誕生します。
アピタ日吉店などの跡地である箕輪町二丁目地区は、保育施設や老人福祉施設などを含む集合住宅に土地利用転換となります。
これに伴い、長年の課題であった歩行者空間や広場の確保などを定めた都市計画が決定したところです。2020年4月には、エコスクールとして『箕輪小学校(仮称)』が開校する予定です」
区制80周年、誇り胸に
――2019年の区制80周年に向けた、区民とのかかわりについてお聞かせください。
「昨年11月、連合町内会長をはじめ各種団体の長からなる『港北区制80周年記念事業実行委員会』が発足しました。
今や区民の皆様のおよそ四分の三が、平成生まれ又は平成以降に転入された方となっており、昭和の港北区をご存知ない方が多数派となりました。
区制80周年は、港北区の歴史・文化・まちの魅力などを知ることで、先人の努力に思いを馳せ、区民としての誇りを胸に、より良き未来を共に創造していくことの大切さを共有する機会になればと思います」
魅力、さらに高める
――区民へのメッセージをお願いします。
「昨年実施した区民意識調査で、多くの区民の皆様が、地域に愛着を持っておられることがわかりました。『この街が好きだ』というお気持ちは、まちづくりを共に進めていくための大切な土台であり、勇気をいただきました。本年も、防災や福祉など支え合いのまちづくりに、区民の皆様との協働により取り組んでまいります。
区制80周年となる来年は、ラグビーワールドカップ2019TMが、その翌年は東京2020オリンピック・パラリンピックのサッカー競技が、横浜国際総合競技場(日産スタジアム)で開催されます。この機会を生かし、区の魅力を更に高めるなど、夢のあるまちづくりに、職員一同全力で取り組んでまいります。引き続きのお力添えを、どうぞよろしくお願いいたします」
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