横浜市は、これまで神奈川県が担っていた指定難病の特定医療費助成を4月から行っている。法改正により権限が移譲されたもので、これにより医療費が助成されるまでの期間が短縮されるなど、患者の負担軽減が見込まれている。
指定難病とは、原因不明で治療方法が確立していない難病のうち、厚生労働大臣が定める疾患。治療が困難で医療費は高額に及ぶことから、基準を満たした人を対象に医療費の一部助成を行っている。現在は331の疾病が対象で、市によると潰瘍性大腸炎やパーキンソン病などによる申請が多いという=表参照=。
過程を見直し
4月からは都市の規模に応じた事務権限の配分を行う大都市特例により、事務手続きの権限が道府県から政令指定都市へ移譲。これにより、助成を受ける際に必要となる受給者証交付までの過程も見直されている。県では外部の専門医が助成認定の審査を行ってきたため、回答待ちなどによって、どうしても申請から交付までに4カ月程度の時間を要した。
一方、市では市職員や行政医が審査を担当することから、所要時間の短縮が図られている。審査は厚生労働省の定めた数値や症状の有無といった基準に従って判断するため、疾病によってはすぐに判断をつけられるといい、2カ月程度で受給者証の交付も可能になる見込みだ。この措置により、患者に対する助成がより早く行われることになる。
これまで申請に必要だった住民票、課税証明書(条件あり)も不要となり、患者が申請前に役所の窓口へ行く手間や書類発行の手数料がかからなくなった。
当事者から期待の声も
市では4月の1カ月で約360件の新規申請に対応。市健康福祉局保健事業課の担当者は「まだ始まったばかりだが、軌道に乗ってくれば交付まで迅速にできるようになるのでは」と話す。
難病患者や家族の相談事業などを行うNPO法人神奈川県難病団体連絡協議会は「審査結果が分かるまで少し長いという患者の声もあった。少しでも早くなることを期待している」と話した。
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