クレーン等の重機が入れないような場所で、周囲の文化財等を傷つけることなく高木を伐採する特殊技術を習得し、活躍の場を広げている技術者がいる。
造園業を営む日吉本町の山口篤則さん(48歳/(株)山口ガーデンサービス代表取締役社長/【電話】045・562・2058)は、およそ10年前から高木伐採に関する書籍を国外から取り寄せ、また、海外の先駆者との出会いを通して、この技術を習得した。9月16日〜18日には、駒林神社奉賛会の依頼を受け、同神社境内にある高さ約10m〜17mのケヤキやヒマラヤスギ、モチノキ計5本を伐採した。
樹木の隣には境内社の稲荷神社があり、作業には高い技術水準が求められる場所。祠や鳥居を傷つけないよう、樹上の山口さんと地上の作業員で連携し、慎重に伐採作業は進められた。
この特殊伐採は、樹木に登り枝にロープを結び、チェーンソー等で枝を切断しては降ろす内容だが、決して単純作業の繰り返しではない。木の肌色や状態を見極め、どこに身を置きどう移動するか。また、ロープを結ぶ部分や切断する箇所、そして木材を降ろす場所は――。樹木の一本一本、さらに一枝一枝、対応を考え、緻密にプランを練っていく。
作業には数本のロープを使用する。ロープの役割は主に▼自身の安全を確保する▼結ぶ場所により枝の強度を上げることで、樹上での自身の移動を可能にする▼切断した木材を吊るすことで、降ろす場所をコントロールする――の3つがある。
樹上に広がる別世界
ときに60m級の樹木と対峙するなど、常に危険と隣り合わせの作業。それでも山口さんは「木にはそれぞれ個性があり、同じ現場はない。趣味のバイクより面白い」と笑顔をみせる。また、「木の上には、地上と違った世界がある」と山口さん。景色も風も、聞こえる音さえも…。すっかり樹上の世界に魅了されているようだ。
そんな山口さんだが、意外にも吊り橋やバンジージャンプは大の苦手。もちろん高所恐怖症だからではなく、理由は明確。「自分で安全を確認していないから」
山口さんは特殊伐採について、困った人を助けられる技術と話す。実際に神社仏閣のほか、一般住宅などでの建物等と隣接した樹木の伐採依頼が増えている。「一件一件のご要望に寄り添えるよう心がけています」。これからは、技術の普及にも努めていくという。
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