帝国データバンク横浜支店がこのほどまとめた上半期の神奈川県内企業倒産集計によると、横浜市内の倒産件数が、上半期としては2002年以降で最少となった。コロナ禍という苦境のなか、国や民間金融機関による特別融資などが支えた形だが、今後の経済動向や感染状況次第では、「増加基調にシフトする可能性はある」(同支店)としている。
同支店のまとめによると、2021年上半期(1月1日〜6月30日)の市内倒産件数は80件で、前年同期比35件減。このうち、新型コロナ関連の倒産は、7月6日現在で44件と半数以上を占めている。
市内の倒産件数は、上半期、下半期とも2008年のリーマンショック翌年が過去最多。今回、100件を下回るのは2002年上半期以来となった。この傾向は県内全体も同様で、倒産件数は上半期として過去20年で最少を記録している。
コロナ禍でも倒産件数が減少している状況について、同支店は「国などの融資や各種支援金が資金繰りを下支えしている」とする。コロナ発生以降、日本政策金融公庫や民間金融機関が「実質無利子・無担保融資」、借入返済計画を見直す「特例リスケ支援」などを提供しており、倒産抑制に効果を発揮した格好。さらに、時短営業や休業など、緊急事態宣言やまん延防止措置の影響を受ける飲食店は、各種支援金により踏みとどまっているという。
秋から増加シフトか
一方で、今後の見通しについて、同支店は「ワクチンの接種が進み始めたが、多くの業種でコロナの影響は続いている」と指摘。毎年資金需要が高まり、倒産件数が増える傾向にある10月〜12月に、増加に転じる可能性があるとする。
この傾向に加え、「コロナ関連融資の返済が始まっている企業が出てきている」「ワクチン普及で景気が上向いても、売上が追い付かずに資金繰りが限界を迎えるおそれのある企業が少なくない」と要因を列挙。「秋口から年末にかけて資金繰り難に陥る企業が増えるかもしれない」としている。
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