東京五輪で日本人選手が5つのメダルを獲得し、注目が集まるスケートボード。そんな中「子どもたちがスケボーをしたくても近くで安全に楽しめる場が不足している」として、新横浜で長年スケートボードを続けてきた小島秀彌さんが会長を務める横浜スケートボード協会(西区)が現在、横浜市に施設拡充を求める署名活動を実施している。
同協会はスケートボード教室の協力やデモンストレーションの実施などを行っているNPO法人で、署名は市内18区に最低1カ所ずつ走行可能なエリアの設置を求めるもの。小島さん自身は新横浜公園内のスケボー広場完成当初から15年以上利用しているというが、「少しずつ愛好家が増えていたことろにコロナ禍と五輪が重なった。5年前に五輪の正式種目に決まりスケートボードを始める人が増え、さらに自粛期間中『子どもたちが一人でも楽しめる』とスケートボードの需要が大きく増えた」と話す。
市内最大級のスケボー広場を運営する(公財)横浜市スポーツ協会によると、昨年6月に場内をリニューアルしたこともあり、土日の利用者が増加。新型コロナウイルスの影響もあり利用者数はばらつきがあるものの、昨夏は特に多く月に1万人ほどが利用。1日800人に達した日もあったという。
金メダルで申込殺到
同施設でスケートボード教室を毎週開催する(株)チースでは1クラス20人前後の募集枠に対し、以前は15人前後の参加数だったが、五輪の正式種目決定以降、徐々に申込が増加。さらに東京五輪で日本人選手が金メダルを獲得した2、3時間後には、初心者向けクラスの申込が殺到し満員となったという。
市内で4施設のみ
一方で市内ではスケートボードの騒音や無断立ち入り等で苦情が寄せられるケースもあり、走行可能な場所は限られる。西区の一部で禁止エリアもあるが、港北土木事務所によると市内公園は基本的にはスケートボードの明確な禁止はない。ただ担当者は「騒音や危険もあるため住宅街の公園では極力行わないでほしいのが実情」と明かす。
専用施設で走行するのが理想だが、NPO法人日本スケートパーク協会によると、今年5月時点で公園等の公共スケートパークは全国で243施設あり、神奈川県内では13施設、横浜市内では新横浜スケボー広場を含む4施設のみ。
市が整備を進める戸塚区の公園でもスケートボード施設の計画が盛り込まれているが、小島さんは「五輪の影響もあり今後もスケートボードをする人は増えていくだろう。地区センターの卓球場のように各区に遊ぶ場がないと、子どもたちが自分一人で行くのは難しい」と指摘する。
プロとして同広場でスクールの講師も務める山岸倫生(りき)さん(20)も限られた場に愛好者らが集中していることを実感し「もう少し身近な場所で分散しなければ。せめてフラットな場だけで良いので安全でスケートボードをして良い場所を確保してほしい」と求める。
小島さんは「スケートボードは流行の波があるが、近年は定着してきた。横浜市が思っている以上に人気がある。五輪を見た子どもたちが夢を持って、近くで安全に練習できる場を設置してほしい」と話している。
署名は電子署名サイト(http://chng.it/7FKDnc8Tv4)で8月末まで受け付け、9月に市へ提出を目指すという。
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