国際吹奏楽指揮コンテスト「ワルシャワ吹奏楽指揮者コンクール2021」が昨年12月にポーランドで開催され、新横浜在住の甘粕宏和さん(46)=中面、人物風土記で紹介=が見事優勝を手にした。甘粕さんは、この経験を主な仕事としている学生の吹奏楽への指導にも生かしていきたいと語った。
同コンクールは吹奏楽指揮者を対象とした数少ないもので、ヨーロッパで2番目に開設された。国籍・年齢を問わず吹奏楽指揮者が応募でき、2019年の初開催時には、日本人指揮者の芝岡愛貴さんが2位を獲得している。
今年も北米・南米、欧州、日本・韓国などアジアから1次のオンライン審査に約50人が応募。そこから20人に絞られ、2次審査から4次審査(ファイナル)までは、ポーランドの首都ワルシャワで行われた。
「英語が流暢に話せるわけではなく、もちろんポーランド語はまったく話せない」という甘粕さん。そんな条件の下で「ポーランドの演奏者らとコミュニケーションをとり、限られた時間で吹奏楽団をまとめていく力を評価してもらえたのでは」と話す。
コロナ禍に学びなおし
甘粕さんは、東京音楽大学出身で、専攻した楽器はフルート。指揮は、一般的な学科として学んだだけだったというが、現在は、主に中学・高校の吹奏楽部のバンドディレクター(指導者・指揮者)を務める。大学卒業後に、中・高吹奏楽部時代の恩師の依頼で、全国各地の中学・高校の吹奏楽部を中心に定期・不定期に指導してきた。次第に依頼も増え順調だったが、コロナ禍で部活が活動停止に。時間ができたことから、一昨年秋に母校の指揮科の研修生として指揮を学びなおした。「日本のトップの演奏者や指導者から学べる素晴らしい環境。今回のコンクールのこともそこで知った」という。
新たに学んだこと、仕事で培ったコミュニケーション能力を生かし、挑んだ今回の大会。「ポーランド語で『私はポーランド語は話せません』の一言だけ習得し、主にボディランゲージと”顔芸”で演奏者と楽しくコミュニケーションをとった」と笑う。特に地元の音大生楽団の指揮では、言語が通じる指揮者でも学生が飽きてしまう場面も。結果、演奏者の投票で決まる「オーケストラ特別賞」も同時受賞した。音楽は言葉が通じなくても作り上げることができる、と改めて実感し「この経験を今後に生かしたい」と力を込めた。
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