東日本大震災から11年、区内のサッカークラブに所属する小学6年生の選手28人が、現地での学びを今後に生かそうと3月12日・13日に被災地を訪問した。大きな被害を受けた女川町や石巻市を目にした選手らは、その様子や被災者らの話を通じて、命の尊さや命を守る行動の大切さなどを学んだ。
3年ぶり9回目
被災地を訪れたのは、NPO法人大豆戸フットボールクラブ(末本亮太代表理事)の選手で、末本代表理事とスタッフが行動をともにした。同クラブは「選手たちに学びの場を」と2012年に被災地訪問を始めて以来6年生を対象に毎年続けていたが、一昨年、昨年はコロナ禍により断念し、今回は3年ぶり9回目の訪問となった。
出発に備え、選手たちはサッカーの練習後にミーティングを重ね、訪問する被災地では何が起き、何が課題だったかなどについて調べた。
訪問初日の女川町では横倒しになった旧女川交番を、また2日目の石巻市では震災遺構大川小学校を目にした選手たち。被災状況や命の大切さを伝える現地の人らの話に耳を傾け、真剣にメモを取り続けたという。
遺族の思いつなぐ
かつて現地で偶然知り合って以来、同クラブが交流を続けているのは、震災の津波で当時25歳だった長男の健太さんを亡くした田村孝行さん・弘美さん夫婦。今回の訪問でも講話が実現した。
「命を守るには準備が必要。日ごろから意見を言い合える風土が、(有事に)よい判断につながるはず」「平凡な日常の幸せを知って」。選手らは、そう語りかける田村さん夫婦の言葉に頷くと、多くの質問を投げかけたという。
田村さんは本紙の電話取材に「鋭い視点で一生懸命質問してくれた。未来ある子どもたちとの関わりはありがたい。何かを学び取って、考えて行動できるようになってほしい」と話した。
「平和な世界目指す」
訪問を終えた選手らのノートには、感想がびっしりと書き込まれていた。「田村さんたちの、未来へとつなげるため、二度と同じことをくりかえさないようにするための強い想いを感じました」「この話を広げ、平和な世界を目指したい」など、現地での体験を今後に生かす決意がにじんでいた。
「コロナ禍で減ったリアルな学びを多感な子どもたちに」。末本代表理事は実体験の意義を語り、「未来へと向かうための現地からのメッセージを胸に生きていってほしい」と思いを込めた。
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