一般社団法人F・マリノススポーツクラブ(新横浜)は10月6日、人工芝のゴミから新たにスポーツ用品を作る新事業「SHIBA-Up」をスタートした。ホームタウンのひとつである横須賀市と連携し、マイクロプラスチックによる海洋汚染対策に取り組む。
同法人は、スポーツを通じたより良い地域社会の創出を目標に、2020年11月に設立された。今回のテーマは、昨今深刻化しているペットボトルやビニール袋など、陸から流出したプラスチックにより海が汚染される「海洋プラスチックごみ問題」。事業化のきっかけとなったのは、クラブが昨夏、育成組織の選手を対象に行った環境問題に関する特別授業だ。
海に流入するプラスチックのなかでも、大きさが5ミリ以下の微細なプラスチックごみである「マイクロプラスチック」。(一社)ピリカの実態調査によると、陸から出たマイクロプラスチックの約20%が、サッカーグラウンドなどでも使用される「人工芝」だったという。紫外線や経年劣化などでちぎれて水路などから流れ出るといい、「サッカーをすることで、ごみを発生させていたのだと知った」と同法人代表理事の宮本功さんは振り返る。
横須賀市と連携
そこで今回タッグを組むのが、クラブのホームタウンのひとつである横須賀市。「海洋都市横須賀」を掲げ、20年から「海洋プラスチックごみ対策アクション宣言」を表明している同市と連携し、人工芝のごみ(人工芝片)からスポーツ用品を生成する事業として「SHIBA-Up」を始動した。
プロジェクトは、「回収・運搬(山一商事(株))」「再資源化((株)TBM)」「製品化((株)モルテン)」「使用・啓発」の4サイクルで実施する(カッコ内は、協力企業)。横須賀市内のグラウンド等で拾い集めた人工芝片を、工場で選別しペレット化(細かい粒状にすること)。それらを素にマーカーコーンなどに製品化し、公共施設や学校施設等で活用できるように提供する。
上地克明市長は「このプロジェクトは海洋プラごみ問題解決に向けた大きな一歩になる」と期待を寄せる。
プロジェクト始動日の10月6日には、横須賀リーフスタジアムで発表イベントを開催した。宮本さんのほか、横浜F・マリノスアンバサダーの波戸康広さん、クラブシップ・キャプテンの栗原勇蔵さんらも参加。今後の展望を語った後、グラウンド隅にたまった人工芝片の収集も行い、その多さに驚きの声も上がっていた。
「多くの人工芝片を集めて海洋プラごみを減らすとともに、新しいスポーツ用品を生成することで横須賀市のスポーツ振興にも貢献できたら」と宮本さん。横浜F・マリノス一筋で元日本代表の栗原さんも「リサイクルで製品になることを初めて知った。多くの人に認知してもらえる取り組みになれば」と期待を口にした。
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