消化器内科部長で、先日、「すい臓がん」についての市民公開講座を行った 関野 雄典さん 横浜労災病院勤務 45歳
「治るすい臓がん」を目指して
○…「『すい臓がん』と聞くと、皆絶望してしまうんです」。今回、5年ぶりに市民公開講座で講演した。5年相対生存率が、ほかのがんに比べて著しく低く、”恐れられている”すい臓がん。近年では治療法も進歩し、早期発見・治療で予後が大きく変わる。そういったことを知らせる役目だ。「質問が多く、外来のきっかけにもなったよう。地域の人のためになっていると感じる」
○…脳外科医の父が開院していた神奈川区に長く暮らす。「医者になれ」と言われたわけではなかったが、自然と医者への道を進んでいた。「やはり背中を見て育ったんですかね」。都内の中高一貫校に進み、山梨大学医学部に入学。方向性が見えてきた大学6年時に、その父が亡くなった。すい臓がんだった。診断がついて3カ月、あっという間の死にリアルを感じた。今、自分がすい臓がんを専門としていることに、「運命というか、決まっていたのかな」と、ふと思う。
○…2019年に発足した「すい臓がん早期診断プロジェクト」は、かかりつけ医から発症リスクのある患者を拾い上げ、治療成績が良い20〜10mm以下での診断を目指すというもの。それには「病診連携が必要不可欠」。繋がりのある他区の病院にも派生し、市との共同プロジェクトへと広がりを見せている。
○…妻と猫と暮らす家には、もうすぐ家族が増える。休みの日は、新生活の準備に忙しい。「ハウスメーカーに打ち合わせに行ったり、必要なものを買い揃えたり」と多忙ながらも充実した日々を、嬉しそうに話す。管理職になり、産休や育休の取得を推進する立場。「医者はまだまだ遅れていると感じる。自分が率先していきたい。スタッフの生活の充実、それが患者のためになる」
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