横浜市教育委員会は10月16日、市内の公立小中学校の2022年度のいじめの調査結果を公表した。いじめの認知件数は前年度から4692件増の1万2248件で、過去最多を更新。市教委は初期段階のいじめを積極的に認知したことなどを要因としてあげる。
いじめの認知件数は小中学校ともに大きく増加し、小学校では前年比3860件増の1万28件、中学校では前年比832件増の2220件だった。児童生徒1千人あたりのいじめの認知件数は48・2件で、全国平均の53・3件に近づいた。いじめ行為の内容は小中学校ともに「ひやかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が多く、全体の半数以上を占めた。
全国的に増加傾向
いじめの認知件数は全国的にも増加傾向だ。文部科学省は認知件数が多い学校について「初期段階も含めて積極的に認知し、その解消に向けたスタートラインに立っている」とし、肯定的に評価している。こうした流れを受け、市内各校に設置された「学校いじめ防止対策委員会」は、初期段階のいじめの認知に力を入れてきた。市教委によると、双方が傷つくけんかやトラブルも、いじめと認知するようになってきたことも増加の一因だという。市教委は「認知して終わりではなく、あくまでも苦痛を無くすことが目的」と話す。
解消率は低下
一方、いじめの年度内の解消率は小学校で56・2%(前年比マイナス5・6ポイント)、中学校で49・8%(同マイナス5・1ポイント)。市は「解消している状態」を【1】いじめ行為が3カ月止んでいる【2】当事者が心身の苦痛を感じていない――としているため、「解消と断言することは難しい。丁寧かつ慎重に安全を担保し続けることが重要」とする。
さらに、学校内に留まらず、地域など様々な見守る目があることが大切とも指摘。「近年のいじめへの考え方を浸透させ、保護者や地域を含めた、全体で見守り続ける仕組みづくりをどのように進めていくのかが今後の課題だ」と話した。
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