元日に発生した能登半島地震を受け、横浜市は市民の安全・安心に寄与する事業を推進するため、「地震防災対策強化パッケージ」として、このほど公表された2024年度予算案に約217億円を計上した。ハード、ソフトの両面から、被害の防止・軽減に努めていく。
予算案編成は通常、前年末時点である程度確定しているが、今回は元日に能登半島地震が発生したことを受け、災害対策について急きょ編成し直したと山中市長が記者会見で明らかにしていた。
防災ベッド普及
新たに追加・拡充されたのは、主にハード対策。能登半島地震では家屋の倒壊により多くの被災者が出たことを受け、建物の耐震化事業を進めるとともに、簡易に設置できる防災ベッド等の普及促進が強化される。
市内には1981年5月31日以前の旧耐震基準で建てられ、耐震化対策を実施していない住宅が約7万戸残っていると推計される。そこで、高齢化や金銭的な理由で建て替えや耐震化ができない家庭に対し、家屋が倒壊しても生存空間を確保できる防災ベッドや耐震シェルターの製品代の一部補助を拡充する。
23年度は防災ベッド、耐震シェルター合わせて15件分の予算を組んでいたが、能登半島地震を受けて24年度は予算を4倍に増額。補助額も引き上げ、合わせて40件の補助申請を見込む。高齢者や障害者のみで構成される世帯を対象に行う家具転倒防止対策助成事業にも1200万円を計上している。
火災被害減少へ
震災時には通電火災により大きな被害が生じていることから、揺れを感じると自動で電気を止める「感震ブレーカー」の設置推進事業も、能登半島地震を受け拡充。これまでは市内11区36万世帯を設置補助対象としてきたが、自治会・町内会からの申請については市内全域に拡大する。予算は前年度の約3倍となる2800万円を計上、件数も1600件から6900件と大幅に増加させた。また、都市インフラの被害を防止するため、災害時に重要となる緊急輸送路などに面する道路がけの崩落対策事業費にも2億円が計上された。
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