7月20日に横浜みなとみらいホールで開かれる「とてもにぎやかなコンサート」を企画した 人首(ひとかべ) 美佳子さん 日吉在住 38歳
音楽は心の境界を越えて
○…年齢も障害の有無も問わず「誰もが気軽に音楽を楽しんでほしい」。自ら企画し、7月20日(土)に横浜みなとみらいホールで開くボーダレスな演奏会「とてもにぎやかなコンサート」で、フルート奏者として舞台に立つ。「豊かな自然も大都会もあり、多様性が凝縮したような神奈川県から『ボーダレス』を発信することに、とても意味がある」と言葉に熱意を込める。
○…岩手県で生まれ、都内や大阪府で育った。5歳ごろからピアノを始め、小5のとき父の仕事の関係でドイツに転居。現地の日本人学校では合唱団に入り、ベルギーでのコンテストに出場した際には『七つの子』『ゆき』『赤とんぼ』などを歌った。「日本の歌がとてもウケて」上位を獲得すると、ドイツ国内の祭りにも呼ばれるなどして度々美声を披露した。
○…「街並みが本当に美しい」デュッセルドルフで3年ほど暮らした思い出を胸に帰国。中学2年のとき十日市場中学校の吹奏楽部に入り、フルートに出合った。初めは演奏が難しく、下級生にも教わるなど夢中で練習を重ねるうち「精密な楽器なのに、音の出し方は原始的。細い見た目なのに、意外とパワーのある音が出る」とのめり込んだ。武蔵野音大でもフルートを専攻し、その後プロ奏者の道に進んだ。
○…昨年、中学時代の部活の恩師からメッセージが届いた。「あんなに手こずっていた子が、プロになったのがとてもうれしい」。その文面に心が震えた。家庭では、自閉症と診断を受けた我が子を育てながら、発達段階を考慮した音楽教室を日吉で運営。演奏会についても「良かったらおいでよと広く伝えていきたい」。言葉にできない思いがある人も、音楽の中に新たな光が見つかるかも知れないと信じて。
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