新横浜に本部がある(一社)神奈川県トラック協会(吉田修一会長)が先ごろ、「物流の2024年問題」に関する意識調査の結果を発表した。今回の結果から、働き方改革関連法によりドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる同問題について、運送関係者と一般消費者の間で理解や意識の差があることが明らかになった。
調査は、県内の運送関係者1035人と一般消費者(20歳〜69歳)3000人を対象に、インターネットで行われた。期間は運送関係者が4月16日〜5月16日、一般消費者が4月19日〜23日。
物流の2024年問題に対して、運送関係者の約85%が「内容まで理解している」一方で、一般消費者の約3人に1人が「名称も知らない」ということが明らかになった。また、同問題の対応策として再配達を削減するなどの効率的な運送に向けた機運の高まりがあるが、調査では運送関係者の多くが「再配達の有料化」を求める一方で、一般消費者の約3人に1人が「有料化は考えられない」と回答=下図。運送関係者と一般消費者の意識の差が示された。
運送関係者からは「再配達には2回分の運賃として1000円以上は負担して欲しい」「置き配できる施設の充実や、不在の場合に受け取る側が自ら取りにくる制度を導入して欲しい」などの要望が挙げられた。
「待遇の改善求む」7割
運送関係者の約7割が同問題を解決するためには、「荷物を運ぶ適正な運賃や送料の値上げに理解を示す」「トラックドライバーの待遇を改善する」ことが必要だと回答している。さらに、トラックドライバーの運送以外の附帯作業である「運ぶ以外の仕事」も問題視されている。運ぶ以外の仕事とは、「手作業での積込み・取卸し」や「荷物を定刻に届けるための長時間待機」などが挙げられる。調査では運送関係者の約15%が1日の平均荷待ち時間が「2時間以上」と回答。予定外の待機や商品の持ち帰りなど発荷主・着荷主都合により拘束時間が増えていることに対する改善を求める声が多く寄せられた。また、1日に走行できる時間が限られ、高速道路の利用が必須となるため、「高速料金の負担を発注者負担にしてほしい」などの声も見受けられた。
調査の監修者は「4月に施行された働き方改革関連法はトラックドライバーのためのもののはずだが、国も荷主も消費者も『荷物』の心配ばかりしているように感じる」とコメントしている。
物流の最適化を
同協会の吉田会長によると、「送料無料」や「当日配送」など、サービス(便利さ)が当たり前になり、その意識を変えることは難しくなっているという。「日本では無料と考えられる『サービス』は海外では有償。労力に対する対価であり、人が動けばお金が動くもの。行政と一丸になり、『物流の最適化』へ向けて、次のステップを進みたい。この調査もその一環。今後も意識改革を広報していく」とした。
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