先月発刊した文庫本「はっとりさんちの野性な毎日」を執筆した 服部 小雪さん 大曽根台在住 54歳
日常描き価値観広げる
○…夫と子ども3人との日常を描いた単行本を2019年に発行、このほど再編と加筆した文庫本「はっとりさんちの野性な毎日」を刊行し現在は大倉山で初個展を開催している。文庫本出版までの”空白の5年”で子どもが自立。家族の形が変化し、気持ちの整理ができず筆が進まなかった時もあったが、「書くことで大事な5年間だったと再確認できた。文庫の刊行で気持ちに良い区切りがついた」と達成感に満ちた表情で語る。
○…埼玉県育ち。マンション暮らしで「自然に飢えていた。庭付きの家に憧れて」と話す。結婚を機に大倉山で生活した後、大曽根台へ。ここでは夫の「鶏を飼おう」の言葉が現実に。初めは心配や不安が大きかったが、発見も多く、気付くと誰よりも夢中になっていた。これまでに30〜40羽育ててきた。「と殺」もする。「人は命をもらって生きている。人間の原点を考えさせられる」
○…文章と絵が好きで小学生の頃から日記をつけている。その日の出来事をマンガのように表現してきた。本に掲載するイラストも描くため、鶏の観察もじっくりと行う。そこで見えてきたのが一羽一羽の違い。「庭での放し飼いで個性が発揮される。子育てにも共通する」。自然も好きで、学生時代はワンゲル部に所属した。今でも山に登る。年齢や母である立場も忘れて自然の中での開放感を楽しむ。
○…書籍を読んだ人の中には、「自分では個人的な悩みだ」と思っていたことを共感してくれる人も。鹿をさばき、鶏を卵から育てる暮らし。「変わった生活に見えるかもしれないけど、生きる上で普遍的なものもある。普通の人間」と語る。本を通して「自分らしいスタイルで暮らして良いことが伝えられたら」と期待を込める。
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