横浜市教育委員会によると、市内の公立小中学校で2023年度に確認されたいじめの認知件数は1万6174件で、3年連続で増加したことが分かった。市教委は、いじめの定義が広がり、初期段階のいじめを積極的に認知したことなどを増加の理由としている。
いじめの認知件数は小中学校ともに過去最多を記録。小学校では前年比32・2%増の1万3261件、中学校では前年比31・2%増の2913件だった。
いじめ行為の内容は、小中学校ともに「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最も多く、小学校で53・2%、中学校で66%だった。
支援の輪広がり
いじめの認知件数は近年、全国的に増加傾向だが、13年に成立した「いじめ防止対策推進法」が背景にあるとされる。
同法では、いじめの定義を「被害を受けた子どもが心身の苦痛を感じているもの」と明確化。市教委は「子どもが少しでも嫌な思いをしたら、積極的にいじめと認知して件数が増えた」といい、必ずしもいじめ自体が増えているとは断定できないと分析する。
市教委は20年に市立中学の女子生徒がいじめが原因で自死したことを受け、今年9月からスクールカウンセラーの派遣回数を増加。
いじめなどに悩む小中学生らが学校を通さずにスクールソーシャルワーカーに電話で相談できる窓口「学校生活あんしんダイヤル」の利用者は、開設した17年度は182件だったが、23年度は382件と約2倍に増えた。こうした取り組みがいじめの認知につながっているという。
市内でいじめなどの相談を受けるNPO法人の関係者は「見過ごされがちな小さないじめが認知されることは良い傾向で、大きないじめを未然に防ぐ足がかりになる」と話す。
市は「小中高生が主体的にいじめの未然防止について話し合う『横浜子ども会議』などを通し、啓発に努めていきたい」としている。
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