全盲のランナーで、世界6大マラソンを完走し、「シックススターフィニッシャー」の称号を得た 町田 宏さん 綱島東在住 65歳
前を向き走り続ける
○…東京マラソンを5時間49分で走り終え、全盲ながら世界6大マラソンを制覇した。2013年にニューヨークシティマラソンに挑戦し、「その熱狂ぶりに感動した」。以来、ロンドン、ボストン、シカゴ、ベルリンの大会で完走。東京大会は抽選に落ち続け、今回ようやく出場できた。「コロナ禍や明けてすぐだったら、こんな盛り上がりはなかっただろうから、今年走れてちょうど良かったよ」と屈託のない笑顔を見せる。
○…市職員として働いていた26歳の頃、徐々に視野が狭くなり、視力が低下する難病にかかった。「ゆっくり悪くなっていったから、心の準備ができた。点字の勉強もできたし」と回顧する。パソコンが得意だったことも功を奏し、仕事に活かせた。「ちょうど音声ガイドが普及し終えたころでね」。40歳で全盲になるも、定年まで勤めあげ、1年間の再雇用も完了した。「どうしてもサポートしてもらう必要がある。回りの人や環境に恵まれた」と感謝する。
○…49歳のころ、上司にウォーキングに誘われた。色々と調べていくうちに障害者と一般市民がランニングを楽しむ団体にたどり着き、50歳でマラソンを開始。「最初はアキレス腱とか足の裏とか、あちこちケガをして大変だったけど、楽しくなっていって」。大会の他は、代々木公園の練習会に参加。自主練では鶴見川沿いをランニング。
○…同じ団体で出会った妻も自身と同じ病気だ。「今はかろうじて見えているが、だんだん見えなくなる」。自身の経験を前例にして、手を取り合って人生を過ごしていく。「120歳まで生きたいね。その頃には人工網膜で目が見えるようになるでしょ」と、科学技術の発展に期待する。「長生きするため、マラソンを続けていかねば」
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