「江戸川乱歩賞 取った!」 区内在住 川瀬七緒さんが受賞
港北区在住の川瀬七緒さん41の『よろずのことに気をつけよ』が先ごろ、ミステリ文学賞の最高峰である「第57回江戸川乱歩賞」を受賞した。川瀬さんは「ミステリ好きの自分にとって、神の様な存在である江戸川乱歩の賞が取れて本当にうれしいです。最近ようやく実感がわいてきました」と感想を話している。
受賞作『よろずのことに気をつけよ』は、呪術をキーワードにしたストーリー。川瀬さんが福島県の実家で見つけた、念仏が刻まれた書物をヒントに生み出した作品で、読者を先へ先へと引きつけていくテンポの良さが特徴だ。
作品では、登場人物を多数描かず、一人ひとりの個性、背景を細かく表現することを重視した。
川瀬さんは「作品のヒントを得たとき、決めたのは出だしと最後の結末だけ。あとは、それぞれの人物像を確立し、主人公はこの場面でどう考え、行動するかとイメージしながら書きました。作品の展開に、自分自身が一番興奮していましたね」と創作中の思いを語っている。同賞選考委員の内田康夫氏は「今風で軽い筆法だが、巧み。会話のリズムもテンポよく飽きさせない」と評価している。
突然、「書いてみたい!」
小説を書き始めたのは、2007年。突然、「書きたい!」衝動に襲われたという。本業の子ども服のデザイナーとしての創作活動、主婦業の合間を見てスタートさせた。「根っからの読書好きですが、書いたことは一度もありませんでした。これまでに蓄積した”何か”が溢れ出た感じですね」と当時を振り返る。最初に取り組んだミステリは、400文字詰めの原稿用紙800枚を3か月で書き上げたという。「こんなに楽しいとは思いませんでした。2年間は、家族にも小説に取り組んでいることは話していませんでした。客観的な評価を得たいと、夫に話したときは、本当にびっくりしていました」と笑う。
目指すは、作者の”名前”で本を買ってもらえる作家になること。読者が時間を忘れて読みふけてしまう作品をコンスタントに創っていきたいと考えている。
港北区には、結婚を期に1997年から在住。川瀬さんは「住みやすいです。子どもが多い街という印象があります。買い物はトレッサ横浜や大倉山近辺に行くことが多いですね。いずれ大倉山周辺をテーマにしたものも描きたい」と話している。
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