食物アレルギー5千人超 市、給食指針作り対応
東京都の小学校で昨年12月、食物アレルギーのある児童が給食後に死亡した事故を受け、文部科学省は現在、学校給食における食物アレルギーへの対応について、全国規模の調査を進めている。アレルギー疾患のある児童が増加する中、対応に追われる現場。横浜市の状況を取材した。
児童・生徒の2・8%
横浜市が給食を実施する市内の公立小学校、特別支援学校、定時制高校に対して行った調査によると2012年現在、食物アレルギーがある児童生徒は5264人で全体の2・8%。うち半数近くは複数の食物にアレルギーを持つ。
市では08年に国が定めた「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」をもとに11年6月、「アレルギー疾患の児童生徒対応マニュアル」を作成、市内の公立小学校はこれに基づいて給食を提供している。
カルテを共有
各小学校では毎年、保護者からの申し出や保健調査票などから食物アレルギー疾患のある児童を把握。担任や栄養士らが面談を行い、原因となる食品や症状などを聞き取り調査した上で、個人カルテを作り、該当食材を除いて調理する除去食にするか、代わりの食材を使用する代替食にするか、弁当を持参するかなどの対応を決めた上で全教職員で情報を共有している。
また、宿泊行事や校外学習では、予め宿泊先等から食事内容を取り寄せ、対応食が可能かなどを確認して、保護者と相談の上、対応を決めることになっている。しかし、自由行動も伴うこうした行事では「児童間で持参した弁当のおかずや菓子などを交換することも考えられ、特に気が抜けない」と現場では話す。
教員「注射は不安」
万が一、重篤な全身症状(アナフィラキシー)が起きた場合には児童が所持する自己注射薬「エピペン」を教職員が注射し、救急処置を行うが、その処置をめぐっては不安を口にする教職員も少なくない。実際、東京都で起きた死亡事故では教職員がエピペンの使用をためらったことが事態を悪化させた原因の一つに挙げられている。
横浜市では年2回、専門家からエピペンの使用法を学ぶ講習を実施。加えて各校が独自に講習を開いたり、教職員が有志で県が行う講習に参加したりして、緊急時に備えているという。
市教委健康教育課は「まずはマニュアル通りに対応することが第一。国の調査により、新たな方針が示され、マニュアルの改訂が必要であれば考えていきたい」としている。
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