横浜労災病院は8日、日本の乳がん対策を学ぶために来日していたセルビア共和国の政府職員ら8人の視察を受け入れた。視察団は同院の千島隆司乳腺外科部長による講義を受けたほか看護師らが乳がん患者の相談を受け付けるピンクリボン相談室などを見学した。
今回の視察は、独立行政法人国際協力機構(JICA(ジャイカ))が2015年秋に開始した「セルビア国乳がん早期発見プログラム改善プロジェクト」に横浜市が協力したもの。乳がんの罹患率がすべてのがんの中で1位という同国の乳がん対策能力向上を支援することを目的とし、同院のほか神奈川県予防医学協会や横浜市立市民病院がん検診センターなどを視察した。
相談室も見学
横浜労災病院では千島隆司乳腺外科部長が、国内の乳がん健診受診率などを説明した上で、健診で早期に発見し、化学療法などの治療をしっかりやりきることの重要性を語った。さらに、看護師、薬剤師などのメディカルスタッフが知識を出し合い、地域に根ざしたチーム医療の構築を推進する「よこはま乳がん学校」の取り組みを紹介した。終了後は、同院が視察先に選定された理由の一つにもなった「ピンクリボン相談室」を見学。同室は看護師のほか、自身も乳がんを体験したコーディネーターが患者からの相談を受け付けており、12年の開室以降14年は年間で304件だったのに対して昨年は367件と60件以上数を伸ばしている。主な相談内容は「治療費や就労に関すること」や「告知後の不安や再発の心配」などの相談が多いという。セルビアの視察団からは「常駐をしているのか?」「どこまで対応するのか?」などの質問が投げかけられた。
千島部長は「熱心に講義を聞いていただいた。アジア系とヨーロッパ系では乳がん発症年齢に違いがあるものの、早期発見や治療をしっかりやりきることの重要性が伝わったようで良かった。これを機に情報交換できれば」と話した。
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