正月の市場や店舗を彩る縁起物――。小机町で農家を営む松本勝彦さんは、野菜を使った宝船を制作している。
神奈川をはじめ、千葉、東京の市場や百貨店などから注文が殺到し、毎年100隻ほど出荷するという。使用する野菜はなんと2t車2台分。一隻ずつ一人で全て積み上げていき、約1カ月で仕上げてしまうそう。今年は豊洲市場からの依頼で、初めて長さ3mほどの大型船も制作した。普段は珍しい品種を含め約60〜70種を栽培していることもあり、人参、白菜、赤や紫の大根など、色とりどりの野菜を使用する。立てて並べられているのは、畑での生きた野菜の姿を再現したいためだという。
野菜の宝船はもともと、市場で売価を競い合うための飾り物だった。松本さんは「お前は器用だから、やってみたらいい」という祖父の言葉を受けて、約30年前に作り始めた。はじめは思うように売れず、10年ほど試行錯誤。徐々に波に乗り始め、今では「これ以上手が回らない」と嘆くほどにまでたどり着いた。
現在宝船作りの担い手は減少しており、関東では松本さんのみとのこと。「それでもこうしてやってこれたのは、待っている人がいるから。体が動く限り、続けていきます」と力を込める。
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