今から12年前の3月11日を、「水も止まって、電気の復旧にも2日間かかって」と振り返るのは、日本盲導犬協会神奈川訓練センター(新吉田町)の金井政紀さん。当時は仙台訓練センターに勤務しており、東北エリアには、55人の盲導犬ユーザーがいた。彼らへの支援に注力するため、施設にいた訓練犬17頭は神奈川訓練センターへ移送。「なんとか全ユーザーのもとを回って。ドッグフードなどの必要物資を渡すなど、職員でできる限りの支援をした」と当時を回顧する。
避難所では、「普段は一緒に寝るのはNGだが、抱き合って寝るなど、犬たちはユーザーにとって精神的な支えになっていた」と話す金井さん。昨今社会問題ともなっている受け入れ拒否も起きることなく、むしろ避難者らの癒しとなる場面もあったという。一方、掲示板での情報発信など視覚障がい者への障壁も少なくなく、自宅と避難所を行き来して過ごしたユーザーもいた。
震災を機に防災士の資格を取得し、各地で講演も行う金井さんは、自助への備えの重要性を説く。「同居人がいても、有事の際に一人ということも。また、犬用のドッグフード等、盲導犬ユーザー独自の必要物資は、周りから借りることも難しい。自分の身は自分で守る意識を」。また、特に視覚障がい者に推奨するのが、地域での防災訓練への参加。「対応方法や目が見えないことでの課題を、自他ともに知ることができる。震災を風化させず自分事として、自身やパートナーの犬を守るために、しっかりと備えてほしい」
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